法律のいろは

子供との面会交流(その⑱)

2014年12月21日 更新 

 離婚後の面会交流については,これまで何度か触れてきました。また,一度調停や裁判で決めた面会交流の定めが守られない場合の間接強制と呼ばれる方法についても何度か触れました。守られない場合の一つの例として考えられるのが,子供が会いたくないと言っているという話が出てくるケースかと思われます。

 面会交流自体は,子供にとって負担が少ない方法で行う方がいいのではないかと筆者は思いますが,こうした場合に常に間接強制が認められるかという点について,示唆を与える裁判例を紹介します。

 

 問題となったケースは簡単にまとめると,父が子供のうち一人を養育しているケースで母から面会交流を求めたというものです。子供の奪い合いもなされており,相当な葛藤が子供に生じたケースと思われます。面会交流の定め自体が話し合いがつかないことから審判での判断となっており,審判文からは子供が表面的に会いたくないと言っていても,顔を伺う形の葛藤があること等を理由に面会交流自体は認めています。

 その後に決められたとおりに面会交流が行われないことを理由に母から間接強制(面会できないことへのお金によるペナルテイ)を求めたのがこの裁判例です。父側からは,母との面会が子供にストレスを与えており面会させるのは避けるべきとの医師作成の診断書が出されたようです。その言わんとするところは,子供に面会が悪影響を与えるため,避けることが子供にとって望ましいから,審判結果への違反がないというものと思われます。

 

 裁判所の判断は,結論として,父側のいう理由では,面会交流についての裁判所の判断をするにあたって考慮に入れた子供への影響を超えるものがないと述べ,母からの申し立てを認めています。

 このことは,次のことを示していると考えられます。一面で,子供についての親の対立が大きなケース(子供の葛藤の大きなケース)では,面会交流について裁判所が家庭裁判所調査官の調査などをもとに子供への面会交流の影響を考慮しています。そこで考慮されていないだけの事情がなければ,面会交流が実現できないことを正当化できないということで,間接強制を防ぐハードルは極めて大きいことを示しています。

 ただ,この判断では診断書の記載に,面会を定めたとおり実施したことで子供にとって悪影響が生じたことを当初想定されたことを超えて生じたことを示すことがあれば,例外的に間接強制ができないことを示しているように思われます。

 

 もっとも,離婚によっても親子関係は切れないこと・あくまでも面会交流は子供の成長のためである点を意識して,離婚後の親と子の関係は考えて行った方がいいような気が筆者にはします。

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