法律のいろは

離婚と財産分与(住宅ローンと名義の変更)

2015年1月20日 更新 

 離婚と財産分与について,住宅ローンが残っている家の問題はこれまで何度か触れてきました。今回はそのおさらいも兼ねながら,名義の変更について触れていきます。ここでいう名義の変更は借主(債務者・保証人)の変更と家の名義人の二つが一応考えられます。

 前者については,以前も触れましたが,債権者(多くは独立行政法人住宅金融支援機構あるいは銀行等の金融機関かと思われます)の承諾なく変更はできません。保証人も同様ですので,離婚後相手方配偶者の経済状況が分からない中で保証人を切り替えてもらわないことは,自らの破産リスクをある程度持つことにつながる点は注意が必要です。これは,相手方配偶者がローンを払えなくなることで,自分に請求が来るものの,お金の余力がないことで破産のリスクがでてくるというものです。
 ただし,相手方配偶者と保証人切り替えの約束をしても,債権者側が応じないと意味を持たないので,約束をしたのであればチェックも必要となるでしょう。

 次に,家の名義の変更について触れていきます。住宅ローンを組むとき,通常は家に抵当権の設定及びその登記をする例が多いところです。家の所有権を移すこととそれに伴う名義の変更は,移転登記という形をとる限り,理屈の上では債権者の同意を必要とはしません。それでは問題がないのではないかと思われるところですが,住宅ローンを借りる際の契約書には,所有権を移す場合に債権者の同意を要求する項目が入れられていることがあります(多いように思われます)。
 こうなると,契約上債権者の同意なく他の人に名義を移すことは,ローン契約の当事者にとっては契約違反となります。この違反が何につながるかですが,契約の内容等によっては一括請求を受ける可能性すらあります。これは,債権者にとっては所有者=借主であることで,返済への意識が高まるとの前提があるように思われます。
 ですから,債権者の同意なく名義を離婚の際に変更することにはリスクがある点は知っておいた方がいいように思われます。

 こうした点もありますので,夫婦間の話し合いだけでなく後で問題が起きないように注意しておくことが,離婚の際の財産分与(住宅ローンと家の問題)には必要となるでしょう。

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