法律のいろは

離婚と面会交流(祖父母と子供)

2015年1月27日 更新 

 離婚後の面会交流は,親権を持たないこととなった親と子供との間のものであることは以前触れました。とはいえ,離婚やそれに至る前には子供にとっての祖父母も子供と普通に交流していたのが多いのではないでしょうか?今回は,祖父母が独自で面会交流を求められるものかどうかについて触れておきます。

 結論としては,以前触れたように,面会交流の主体として,祖父母を考えるのは困難です。これは,子供の養育監護の一つとして面会交流が法律上定められているためです。ただし,例外的に祖父母との面会交流を定めた裁判例があるので紹介します。ただし,特殊なケースであるように思われます。

 問題になったケースは,片方配偶者の親が他方配偶者とともに子供を養育していたものの,その後他方配偶者が再婚して家を出たというものです。再婚の際に,子供と再婚相手の間で養子縁組がされたものです。引き続き,子供の世話は片方配偶者の親がしていたのですが,自らを監護者にするよう裁判所に求めました。これに対し,他方配偶者側から親権者である自らに子供を渡すよう求めたものです。

 分かりにくいので整理すると,
 1事実上子供を養育していた・親権者ではない祖父母が養育権限を認めるよう求めた
 2親権者側から,事実上養育していた側に,子供の引き渡しを求めた
 というものです。

 第1審と第2審では少し判断が違っています。第1審・第2審とも,子供と実の親[他方配偶者側]には次第にギクシャクした点がでたものの,祖父母の働きかけの影響があること等を述べて,結論として親権者への子供の引き渡しを命じています。ただし,第1審では,子供の現在の状況等を考えて,健全な成長のため,引き渡しまで実の親と子供の面会を何回か行うと判断しています。
 第2審では,子供の引き渡しを命じるものの,しばらくは子供が祖父母と宿泊つきの面会交流を行うよう命じています。

 両者では,面会交流を行う方が異なっていますが,実の親への引き渡しを前提に,環境等の激変を緩和して子供への影響を小さくしようとしている点では同様と考えられます。

 これまで長く子供の監護養育実績があったことや引渡しをするまでの子供との慣れ親しんだ程度を考慮してのものと思われます。その意味で一般化はできませんが,子供と祖父母との面会交流を考える一つの例にはなると考えられます。

 もっとも,親族の関係は続くことから,徐々に祖父母を含めた面会を実現することは,ケースにもよりますが,重要なことだと筆者には感じられるところです。

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