法律のいろは

離婚・不貞(不倫)の慰謝料と税金の関係

2015年2月8日 更新 

 通常表題のような話題は税理士の方というイメージがあるかもしれませんが,今回は離婚に関連する慰謝料と税金の関係について少し触れてみたいと思います。イメージとして,慰謝料というと離婚時にお金で払うものという考えが強いかもしれませんが,ケースによってはお金がないが他の財産があるために,他の財産で支払う,離婚前に支払うことがあるかもしれません。

 まず,典型的な離婚の際にお金で慰謝料を支払う場合には,税金の負担が発生することはありません。これは心身に負担した損害を補てんするものという事で,法律上所得税に関する税金がかからないとされているためです。
 これに対して,離婚前にお金の支払いをする場合には,税金がかかる可能性があります。国税不服審判所の裁決の中で,長期間実質離婚状態と考えられる夫婦間でのお金に支払いについては,「悪意の遺棄」に対する慰謝料と考えられる要素があると判断した事例があります。お金の支払いの中に,慰謝料の支払いという要素と贈与と考えられる要素があるとのことで,ある程度贈与と考えられる金額があるとのことで贈与税が遭課税されています。

 お金以外のもので支払い場合には,お金での支払いと変わってくる点があります。支払う側には,支払った際に時価で相手に渡したという事で所得税が発生する可能性が出てきます。ただし,居住用の不動産を渡す際には,税金が発生する場合であっても少し変わってくる点があります。居住用不動産とは何かという問題がありますが,ここでは簡単に譲る方が生活の本拠としていたところという形で大ざっぱに記載しておきます。
こうした居住用不動産については,法律上3000万円が特別控除されることになると定められています。そのため,仮に所得税(譲渡所得税)が発生する場合でも控除により,実際に税金の負担が発生するかどうかの結論は変わる可能性があります。
 これに対して,支払いを受ける側については,慰謝料としての支払いを受ける部分については法律上所得税に関する税金はかかりません。ただし,不動産を貰う場合には不動産取得税はかかりますし,名義を移す際の登録免許税はかかります。支払いを受けた後には固定資産税を払う必要が出てきます。不動産の所有権を得るためです。

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