法律のいろは

子ども名義で積立している預金から一方の親が勝手に引出し・解約できるでしょうか(その③)?

2015年2月14日 更新 

 もう昨年ですが,このテーマで二度記事を書かせて頂きました。その際,定期預金については原資になったお金を出さが負担していたのかが大きなポイントになるという話をしました。それに対し,お金が頻繁に出入りすることが予定されている普通預金については同じようには考えられないという点を触れました。

 普通預金については確定した裁判例が存在するわけではありませんが,やや特殊な形態ですが,最高裁の判断が出たものがありますので,今回はこのケースを紹介したいと思います。
 問題になったケースは保険会社Bの代理店Aが,契約者から集めた保険料をプールしておくための口座として「B代理店A]という名義で普通預金口座を開設していたものです。この口座には保険料をプールして手数料を引いた額をAはBに送金していました。Bの経営が思わしくなり,口座を開設していた銀行が自分の貸していたお金を相殺できるかどうかが争いとなりました。
 このケースでは,Bの預金かAの預金かが争点となり,Aの預金でないと銀行は相殺できませんから,誰の預金であるかがシビアに争いとなったものです。

 このケースでは,Bに対して支払うことになる保険料がプールされたものではあるものの,手数料などを引いてからはじめてBに送金されるものという特徴があります。当然口座の管理は通帳や印鑑を含めてAが行っています。こうした点をどう考えるかがポイントとなってきます。第2審は,Bに対して支払われることになるもので・Bが実質的に管理しているとして,Bの預金であると判断しました。
 これに対し,最高裁は,
 ・BはAに対して,口座を作って自分の代わりに管理するよう依頼していない
 ・口座の管理や払い戻しを行っていたのはAである[開設も)
 ・お金は所持している方のもので,Aは保険料をBに送る義務を負っていただけ
 である点を述べて,Bの預金ではないと判断しています。

 このケースは専用管理口座のケースであくまでも特殊な中での判断です。先ほどの3つ目の点は,お金は所持している方のものであるという考え方を前提にしたものですが,仮にこのケースでBの依頼に基づきBの代わりに口座の開設や管理を行っていた場合にはどうなるのかまではこの裁判例は判断していません。法律上,依頼に基づき代わりに管理等している場合には,管理者(先ほどの例ではA)の手に移ったものは依頼者(先ほどの例ではA)のものになるのが原則ですが,一方でお金の特殊性があります。
 こうした点をどう考えるのかは難しいところとなります。次回に続きます。

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