法律のいろは

離婚後の親権者の変更(離婚後の事情の変更が必要ではないとされた裁判例)

2016年4月6日 更新 

 一般に,離婚後における未成年の子供について親権者を変更するには,離婚後に当初予定していなかった事情の変更が必要といわれています。これは,通常離婚協議や離婚調停,離婚裁判で様々な事情を考慮に入れて話し合い等がなされ親権者が決められているはずであるという前提があります。                                                                    しかし,全てのケースで子供を育てられる状況にあるのか・生活状況をきっちりと考慮して話し合いを行うことができない場合もあります。こうした場合に,先ほどの一般論と同様に考えられるのかという点が問題となります。昨年出された裁判例の中に,こうした点を判断したものがあります。                                                                    まず,結論として,きっちりと様々な事情を考慮して話し合いが行われていないケースまで事情の変更を求めるのは,前提が書けていると判断しています。こうしたケースでは,離婚時における親権者の指定と同様に,養育監護体制や状況,生活状況等から見て,子供の成長にとってどちらの親が望ましいかから判断するべきとされています。以下,事実関係は裁判例からのまとめになります。                                                                    問題になったケースは,少し特殊ですが,離婚の際に妻側の思い入れや当時の生活状況等の事情から,夫側の親が子供の面倒を見るけれども,妻が親権者になったというものです。その後に,夫側が親権者の変更の調停を申し立てて審判へ移行しました。                                                                    子供はまだ非常に幼いものの,離婚前から学校行事などへの関わりが妻側では少なく,現在の夫の父母による養育監護で支障のないという状況がありました。妻側では生活状況について見通しもでき,今後の養育監護には問題はない・当初予測した事情の変更もなく親権者を変更するっべきではない等の主張がなされたようです。                                                                    こうしたケースについて,第1審が事情の変更を要求して,親権者の変更を認めなかったのに対して,第2審は先ほどのべた事柄をふまえて,親権者の変更を認めました。第2審は,妻側の主張に対して                                                                    ・事情の変更を一般に要求するのは,何もないのに親権者を変更するのは,子供にとって不利益だからである    ・子供の利益にとって何が重要かが一番のポイントで,事情の変更があったかどうかもその一つの要素にすぎない                                                                    と述べています。この裁判例によっても,多くのケースでは事情の変更が要求されることにはなると思われます。多くの親権者変更は事後に子供の養育などに問題が出たというケースと考えられるためです。親権者変更の際に重要な要素を述べたものですので,今回紹介しました。
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