法律のいろは

離婚と養育費(ローン支払いによる支払い能力などの考慮)

2015年2月18日 更新 

 インターネットなどで出回っている養育費の算定表,婚姻費用についても算定表があり,その元となる算定式もあります。その詳細は,これまで何度か触れてきました。基本的には,家族の人数と扶養すべき方の収入,子供の年齢(15歳を区切りとしています)をもとに計算やあてはめをしていくことになります。これに対して,児童手当などの給付は考慮されるのか・ローンなどの支払いがあってとても払えない点は考慮されるのかといった点が気になるところです。

 ローンの支払い能力があり,支払いができないのであれば,安定的な支払いという点からすると,考慮しないとおかしいのではないかという考えが出てくるところです。これに対し,養育費の支払いは,余裕がなくとも自分と同じだけの生活を確保させる義務に基づくものなのだから,ローンの支払いが苦しい点は考慮するのがおかしいという考えも出てくるところです。
 通常は,離婚等の調停の養育費に関する話し合いの中で,こうした点があるから折り合うかどうかという点で問題となるところです。話し合いがつかない場合は,審判や裁判の中でシビアに問題となってきます。この点について,裁判所の判断があります。裁判所は,こうした点が問題になったケースにおいて,先ほどのうち後者の考え方を採用し,ローンなどの支払いは養育費の支払いに劣るべきではないととの判断を行っています。
 また,この裁判例の判断の中では,公立高校授業料の無償化・当時の子ども手当を親権者親が受け取る点が養育費の支払い額を決める点で考慮されるか否かも問題となっていました。前者は,無償化によって生活費の負担が下がるから養育費に学にも反映されるべきという考え方が通るかどうか問題となったものです。後者は,こうした手当を養育費を受け取る側の収入に含めるべきかが問題となりました。
 裁判所は,いずれについても,養育費の額を決めるうえで考慮されないと判断しています。前者は,公立高校の授業料は元々低いからそれほどの変化をもたらさない・後者は,子供の養育を社会全体で支えるための制度だから考慮されないというものです。

 このように,現在の裁判所などでの取り扱いは,算定表からの修正を求められる事柄は多いものの,そう簡単には修正をみとめない傾向にあると考えられます。ただし,前記の例は最高裁でも是認されたものの,まだ争いになる項目もありますので,吟味が必要になると思われます。

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