法律のいろは

離婚後の養育費の減額(審判例の紹介)

2015年2月20日 更新 

 離婚の際に取り決めた養育費をその後減額など変更するのには,取り決め後の事情の変更が必要になるとの話は以前触れました。いわゆる算定表や算定式の水準からみて,相当高額(あるいは低額)な養育費の金額を決めた場合っも,事情の変更が必要ですから,単純に水準から低い・髙いという理由から,金額の変更がすぐに認められるわけではありません。
 もちろん,事情の変更と言えるだけの事柄があるかが問題となります。

 今回は,前記の水準からみて高額とされた養育費が減額された家庭裁判所の審判例を紹介します。
 問題となったケースは,離婚の際に相手方配偶者と約束した養育費の金額(前記の水準からみて2倍程度)の減額を支払う側から求めたものです。約束した際には,離婚してもしばらくは子供らとも同居することを前提にしていたものの,それが崩れた・約束の額では親からの援助がないと生活ができないうえに,その援助も借入によって賄っていたことが後で判明した等の事情が存在していました。

 養育費の減額は,調停を含めた話し合いが難しくなると裁判官が判断する審判に移行します。このケースでも減額を正当化するだけの事情の変更があるかが問題になりましたが,減額についての折り合いがつかないために,審判に移行したものです。
 
 審判では,前記の各事情等(養育費は約束の後公正証書が作られているケースで,公正証書作成の際の事情も考慮されています)から,双方の生活を公平に維持していくためにも事情の変更が認められるとして,減額を認めています。ただし,その額は,算定表や算定式から導き出される額ではなく,それよりは少し高い金額(支払い側が受け入れて任意に支払っていた額)への減額を認めています。

 このケースでは,支払い側・受け取る側の生活の公平な維持が重視されたようですが,他方取り決め時に予測できなかった事情の変更が必要と述べる高等裁判所の判断もあり(ここでは取り決め後の減収が予測を超えていたかが問題となっています)ます。どこまで一般化できるかという問題もありますから,養育費の金額を決める際には後々のこともよく考えておく必要があるように思われます。
 

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