法律のいろは

離婚と養育費(税金の関係その①)

2015年2月22日 更新 

 離婚によって子供の親権者を決めて養育費の金額等を決める際に,その後養育費の支払いが税金にどのような影響を受けるかは気になるところです。①養育費を払うことに課税はされるのだろうか②養育費に関して,扶養控除はどうなるのだろうかといった点がとりあえず問題となるところです。今回は,①について触れたいと思います。

 養育費を払うことに関して問題となる税金は贈与税になります。実際にかかる可能性はあるのかという点ですが,「扶養義務のある」間の方で「生活費や教育費に充てる」ためにした贈与で「通常必要とされるもの」は課税されないという決まりが法律上あります。少し分かりにくいところですが,いわゆる授業料その他の学費で一般に必要と思われる範囲や一般に日常生活を送る上でかかるだろう範囲のお金と考えればいいかと思われます。あくまでも,社会一般に取っての基準(その方の資力状況等を踏まえて)のものである点には注意が必要です。

 一般的には,毎月お金を支払う印象の強い養育費ですが,一括払いの場合もありえますし養育費の支払いに充てるため物を贈与する場合もありうるところです。こうした場合はどうなるのでしょうか?
 前者の場合には問題が出てきます。というのも,一般に,生活費や教育費にかかる費用として必要になる都度,直接その支払いに充てるお金が贈与税のかからない部分と考えられているからです。つまり,通常必要な範囲を超えているのではないかと考えられる可能性が出てくるため,ケースにはよりますが,贈与税がかかる可能性が出てきます。こうした場合に,信託という方式を使えば課税されないという通達があるところです。
 後者については,毎月かかる養育費の支払いを賃料収入で賄おうとして,賃貸用不動産を親権を持たない親から子供の名義に移した場合が例として考えられます。この場合には,通常必要な支払に充てるという範囲に含まれないものと考えられており,贈与税が課税されることになります。

 このように,協議離婚や調停離婚等話し合いでは養育費の支払いに関して自由に決められる面があるものの,税金に関しては別に考慮が必要となってきます。次回は,養育費と扶養控除について触れたいと思います。

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