法律のいろは

面会交流について合意があったのに、子をみている親が応じなかった場合

2015年2月28日 更新 

 面会交流を行うことを拒否した場合、子供をみている親の損害賠償責任が認められるかということについては、以前のコラムで触れました(「子供との面会について(その➄)離婚後」参照)。

 面会交流を拒否することに正当な理由がなければ、つまり拒否することが違法といえれば、損害賠償責任が認められることになります。上記コラムでは、面会交流拒否について、不法行為責任を認めたケースに触れていますが、今回は面会交流の合意が一旦成立したのに、子供をみている親が一方的に拒否したことから、他方の親が面会交流を認めないことについて、債務不履行(合意違反)、不法行為責任を追求したというケースをみていきます。

 このケースは、未だ離婚が成立していない時期に面会交流に関する調停で、月に1回以上の面会・子供の学校行事への参加や旅行について、将来前向きに話し合いで協議する、としていながら、3年過ぎた頃から、面会交流が行われなくなった上、子供の学校行事への参加に関して協議に応じようとしなかった(ただ、面会交流を求める親が学校と調整して参加はしていた)というものです。

 
 裁判例では、面会交流の経過について詳細に述べた上、面会交流に応じないことに相当な理由があるかどうか検討し、面会交流を求める親が、面会交流の回数や方法(子供と2人で会いたい)といった要求や学校行事に子供をみている親の同意なく参加していることがその親の精神的なストレスになり、面会交流を拒否するに至ったとしても、合意に反しているとまでいえないことから、応じないことについて相当な理由はないと判断しました。

 
 そして、長女が途中から面会交流に消極的な態度をとるようになったのも、調停で合意していたのに面会交流が行われていなかったことに一つの原因があるとして、結論としては債務不履行に基づく損害賠償請求を認めました。

 
 面会交流を行うにあたっては、子供をみている親の影響が大きく、その協力なくして行うのが難しいものです。とくに、上のケースのように、面会交流の具体的な日時・場所などは両者が協議して決めるという内容の合意であればなおさらです。

 
 このケースの場合は、とくに正当な理由もなく面会交流が長期にわたって行われなかったことで、幼少時代の子供との交流により得られたはずの心理的満足が得られなかった一方、面会交流を求める親にも配慮が足りなかったこと、不十分ではあるが子供とあったり連絡もとっていたことから、70万円の損害賠償のみ認めています。

 面会交流は子供をみている親のその時々の判断、教育内容からの判断によって対応の仕方も変わってきうるため、よほど違法といえない限り損害賠償を認めて強制すべきでないと思われ、なかなか難しいところです。 

 

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