法律のいろは

面会交流を許容するかどうかの親権への影響

2015年3月4日 更新 

 昨年の12月頃の報道で,面会交流への非協力な態度が離婚時に定めた親権者の変更(親権者と監護者を分ける)形の審判が出たとの記事を見かけました。問題となったケースの中身が分からないので,コメントをしがたいところですが,一般論としても親権を決める際に,親権を持たない親と子供との面会交流を許容するかどうかは一つのポイントになっているところです。
 また,筆者の個人的な感想としても,家庭裁判所での取り扱いの中でも,面会交流の許容は重視される傾向にあるようには思います。もっとも,全てのケースでそうであるというわけでもなく,子供の葛藤が非常に大きいケースや子供への暴力があるようなケース等には該当はしないことは言うまでもありません。あくまでも,子供のための面会交流であるためです

 
 面会交流を広く認めるべきか否かは,見解が分かれているところではありますが,今回は面会交流を許容しないことが子の監護権に影響を与えたケースを紹介します。問題となったケースでは,病気などのために夫側に子供(3人)を置いて出た母親側が,いったんなされた面会交流の合意に父親側が非協力的であるなどのことから,子供の引き渡しを求めたものです。背景事情として,離婚調停中に協議離婚[父親側を親権者とするもの)がなされたものの,その協議離婚の無効を確認する調停や裁判を母親側が起こしたこと・面会交流自体を父親側が拒否するわけではないけれども,何かと理由をつけては約束の実施に難色を示す,母親側が仕事で会うことが難しい曜日を指定したことが,決定文には記載されています。

 問題となったケースでは,現状で子供たちの状況は一応安定していたとの記載があります。人の子供のうち,2人は母親側と暮らしたいとの希望を家裁調査官との面談で述べていること・子供の一人が母親と会えないことで身体的な悪影響が出ていること・意向を示していない子供が面会交流を巡る父母の対立に大きな葛藤を受けていること・別居前の母親との結びつきの強さ等を考慮しています。また,面会交流について,母親側が,父親側と子供の面会に柔軟に対応すると回答していることと前記の父親側の非協力的な態度とその子供への影響も踏まえて,母親に監護させることが適当であるとして,母親側への子どもの引き渡しを認めています。
 注意点としては,母親側が転校を避けるような行動をするなど現状からの移行を可能な限り避けようとしていたこと・別居前の子どもとの結びつきも考慮されていること・子供の意向や面会交流を巡る子供の葛藤等も考慮されている点と思われます。単に,非協力的かどうかだけではなく,子供にとって何がいいのかを多くの要素から考えている点は重要と思われます。

 このように,単に面会交流に非協力的かだけではなく,様々な要素の考慮が親権に影響している点は注意すべきと思われます。

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