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セクハラと懲戒処分に関する裁判例(その④)

2015年3月26日 更新 

 先日出たセクハラと懲戒処分に関する裁判例について,一般的な話などについて前回まで触れてきました。今回は,高裁と最高裁の判断の比較を踏まえて,判断のポイントについて触れたいと思います。

 まず,高裁・最高裁共に,セクハラの存在は前提としています。そのうえで,高裁では,
 ア 被害を受けた女性から明確な拒否を受けていなかったことから,加害者が許容されたと感じていたこと
 イ セクハラに関する懲戒処分についての会社側の具体的方針を知る機会がなかったこと
 ウ 問題となった行為について,上司などから加害者側は注意を受けていなかったこと
 エ 問題となった懲戒処分は解雇の次に重い処分であること
 等の事情から,出勤停止という問題となった処分は重すぎて無効であると判断しています。

 これに対し,最高裁では
 ア 加害者二人のうち,一人は,当該部門の責任者でかつ一人で密室にいた被害女性に卑猥な言動などを繰り返した
   もう一人は,以前女性従業員に対する言動に関して注意を受けたのに,被害女性が結婚していないこと等を内容とする言動を行った
   こうした言動は,女性従業員に屈辱感を大きく与えるもので,作業能率を大きく下げるものである。
 イ 勤務先会社では,セクハラを取り締まり厳しく対応するとの方針を出しており,加害者は責任ある立場としてその推進を図るべき地位に   あったこと
 を大きな理由としたうえで,
 被害者側が抗議を示さなくても,人間関係の悪化などを懸念して声をあげられないこと・加害者は立場等から会社の方針は知りえたはずであること・密室での行為を会社が知りえないのはやむをえないこと,からこうした点を加害者側に有利に考慮できないとして,思い懲戒処分もやむをえないと判断しています。

 こうした点からすると,セクハラの内容やどの程度繰り返されたか・会社のセクハラへの取り組みの内容やセクハラを行った方の立場は相当大きな考慮要素になってくるものと考えられます。特に管理職や以前注意を受けたことのある方であれば,重い処分もやむをえない方向に働くことになろうかと思われます。この裁判例の問題となった会社では,就業規則等でセクハラに厳しく対応するという方針が打ち出されており,こうした点も判断の中では考慮されています。そのため,一律にどの会社でも当てはまるものとは直ちには言えませんが,密室の場で行われたことに相手が抗議をしなかったからといって,有利な考慮事情にはならない点には注意が必要と思われます。

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