法律のいろは

離婚の際における親権者を決めるうえでの面会交流はどれだけ重要なのでしょうか?

2015年4月11日 更新 

 離婚の際の親権を決めるうえでどういった要素が考慮されるのか・重視されるのかという話はこれまで何度か触れました。また,先だって面会交流を許容しないことを一つの理由として親権者変更を認めた裁判例に関連して,同様に親権者変更を認めた裁判例を紹介しました。今回は,面会交流の許容性(親権をもたない親と子供)が親権者の判断に影響を与えた裁判例を紹介します。

 問題になったケースは,親権者変更と子供の引き渡しを求めた事案に関するものです。元妻側に不倫があったのではないかという事が発端で協議離婚をし,元夫側を二人いる子供の親権者と決めて協議離婚したものの,子供は元妻側のもとにいて,元夫側が引き渡しを求めても引き渡しがなされなかったという事案です。元妻側が親権者変更を・元夫側が子供の引き渡しを求めて家庭裁判所に調停を申し立て,話し合いがつかなかったために審判に移りました。

 第1審である家裁の審判では,親権者変更は認めず子供の引き渡しを命じました。これに対し,第2審では,子供の養育監護を行う監護権者に元妻を指定し,引き渡しを認めませんでした。あわせて,親権者の変更は認めていません。第1審では,双方ともに養育条件は同等であるが,元妻側に子供を紛争に巻き込むなどの事情があるから,元夫側の方が監護条件が上回るとして,先ほどの判断をしています。対して,第2審では養育監護の環境には両社では優劣が点けれらないことを第1審同様に前提にしています。そのうえで,元妻側が,①子供の誕生以来専ら養育監護を続けてきた②養育監護の意思を元妻が持っている③親権者を元夫に指定したのは,不倫に関する話があり,不本意ながらのものである④元妻側が元夫への面会交流を子供に認める意向を示している,ことを理由に,第1審と異なり監護権を元妻に認め,元夫への子供の引き渡しを否定しています。

 このケースにおける面会交流を許容する意思がどこまで重視されたのかは,いくつかある要素であるためはっきりしない点はあるものの,双方の親の養育監護条件が同等と考えられる場合には,一つの大きな要素となることは言えると考えられます。監護養育実績や現状,子供との結びつき等の要素は相当重視される印象もありますが,面会交流が子供にとって好ましくない事情がない限りは一つの大きな要素になりえます。

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