法律のいろは

内定と取消(その④)

2015年4月28日 更新 

 採用内定と取消に関して,前回は,履歴書などに記載をしてもらった項目に事実に反したものがあった場合に,採用内定取り消しの理由となるかどうかについて触れました。その中で,会社側から採用希望者の方にどこまでの記載を求められるかという話を次に触れるという話をしましたので,今回はその話について触れていきます。

 学生の就職活動(会社からいると採用活動〉に関する有名な裁判例では,法律に違反しない限り,会社にはどのような能力・性格などを持つ方を採用するのかの自由があり,採用の資料となる情報を調査する事由があると述べられています。ここからすると,法律に抵触するのはどの範囲なのかが気になるところです。職歴や最終学歴は,人事コースや給料の問題・そもそも採用するかどうかに大きな影響を与えるので,求職者に情報開示に応じる義務があることは広く認められるところです。

 これに対して,犯罪歴はどうなのかということについては,裁判例の中に,勤務能力の評価に大きな絵影響を与えるような事情がある場合を除き,古い前科まで申告する義務が求職者の側に応じる義務はない判断しているものがあります。だから,会社側が聞くことがで着ないかといえば,あくまでも応じる義務がないというものですから,聞くこと自体はできます。ただし,求職者側が難色をしました場合には無理強いはできないという事になります。

 それ以外にいわゆる身元調査などができるのかも問題となるところです。こうした事柄が個人の出自などに関わり,こうした情報を無理に聞くことがプライバシーとの関係でトラブルにつながるリスクがあることには注意が必要と思われます。求職者の個人情報については,職業紹介について法律上の規制がかけられているのみですが,このことを採用には無規制と捉えるか・プライバシーにかかわる情報だけに職業紹介では特に規制をかけていると捉えるかは考えが別れるところです。ちなみに,行政庁の指導では,規制をかけているところです。また,地域によっては条例で規制されており,その違反が問題となることがありえます。

 申告内容が虚偽であった場合に内定取り消しの事由となるかどうかは,前回触れたようにケースバイケースですが,会社側としては,採用時にどのような態度で臨むかは大きな問題になると思われます。次回に続きます。

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