法律のいろは

離婚と親権(その⑰)子供の引渡の方法の補足

2015年5月5日 更新 

 以前,子供の引き渡しについて,人身保護法に基づく手続きがあることと子供の引き渡しを求める審判があるという話,認められた場合の方法について少し触れました。今回は,認められた場合の実現方法について,少し詳しく触れていきます。

 まず,子供の引き渡しがを求める審判が認められた場合について触れていきます。前回,直接強制という方法と間接強制という方法があるという話をしました。前者については,そうした方法をとることができるのかが問題にされてきたところではありますが,現在では裁判例上でも子供が幼く自分の意思を自分で十分に表明できない場合には認められると一般には考えられています。この場合,どの年齢までなら問題ないのかは相当に問題がないところではありますが,子供ごとの発達度合いもあり,ケースごとの難しい対応が必要になります。なお,裁判例の中には小学校低学年程度までの子供であれば,自分の意思を十分に自分で表明できないのではないかと述べたものもあります。

 では,直接強制という方法には具体的な方法としてはどのようなものがあるのでしょうか?裁判所の職員(執行官)と引き渡しを求める親が相手方のもとへ赴き,相手方に執行官から子供を引き渡すよう求めることになります。これに対して,子供自身がどうしても相手方のもとを離れたくないと述べた場合や,拒否的な相手方の協力がないと子供の心身に問題を与えそうな場合には,無理に子供を連れて帰ることはできません。

 ちなみに,裁判所が,子供の引き渡しを命じる場合には
 ア 相手方が子供を引き渡す   
 イ 引き渡しを負止める親が子供を連れて帰るのを妨害しない 
 ウ 子供が引き渡しの親の元へ自分から行くのを受け入れる 
 等という内容の(命令の文章は厳密には違います)ものに大ざっぱに言えば分けることができます。

 これに対して,間接強制という方法は,子供の引き渡しの命令に相手方が従わない場合に,一種の罰金的な制裁を科すものになります。問題はどのような場合にこうした制裁が科されるのかという点ですが,そのほかの話を含めて次回に詳しく触れたいと思います。

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