法律のいろは

高齢者との取引の注意点

2015年5月17日 更新 

 高齢化が進み、今では100歳の人もかなり増えてきていますね。昨年の敬老の日ころの時点で、65歳以上の人が3000万人以上、100歳以上は5万8000人あまりと急激に増えてきています。

 こういった高齢化が進んでくると、高齢者との取引も増えてくることになりますが、その際にはどういった点に気をつければよいでしょうか。

 高齢者との取引をするにあたっては、高齢者に、自分が行っている行為の性質が判断できる能力(意思能力)と、取引内容を理解して、契約を今締結することが自分にとtって必要・有益か判断できる能力(行為能力)が必要になります。

 具体的にどのレベルまで判断できればいいかということは、個別の取引の内容によって異なってくるため、一概には言えないところです。
 意思能力についてはそれぞれの行為ごとに難易・重大性などを考慮して行為の結果を正しく認識できたかを中心として判断すべきとする裁判例もあるようです。

 ですので、高齢者と取引をする際にはどういった取引をしようとしているかによって、その取引が有効とみてよいかが異なってきますが、高額な金額が絡む取引(不動産・証券、株売買など)や、取引内容に高度な判断が伴うもの(信用取引など)はその高齢者が判断可能な能力があるか、慎重に見極める必要があるでしょう。

 仮に取引をするにしても、のちに高齢者の判断能力が低下してしまうと、取引時にも判断が十分にできなかったと主張される可能性もあります。

 ですから、そういったリスクを避けるため、あらかじめ医師の診断書や取引(契約)時に複数の立ち会いや面談を行い、それを記録に残しておくなどといった配慮も必要になってきます。取引の様子を動画で録画撮影しておくのも、あとで判断能力が争いになったときに、高齢者本人の判断が可能かどうかをみるにあたっての証拠になってきます。

 そういった方策をとってもなお判断能力が微妙なときは、成年後見制度を活用することを検討した方がよいでしょう。

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