法律のいろは

葬儀費用と香典とは法律上どのようなものをいうのでしょうか?

2015年5月24日 更新 

 人が亡くなられた後に,葬儀費用と香典をどうするのかという問題が出てくることがあります。これらのものが法律的にどんなものなのか等について触れてみたいと思います。

 まず,葬儀費用は葬式の費用が含まれるのはイメージのわくところですが,墓への埋葬の費用や墓石等の費用は含まれるのでしょうか?一般的には,葬儀費用とは葬式などの追悼の費用と埋葬の費用とされています。そのため,墓石の購入などの費用は含まれないことになります。また,葬儀など追悼の費用といっても,通夜の際の費用は含まれるのか・四十九日や一周忌の法要の費用は含まれるのか・参列者への接待費用は含まれるのかも問題になってくるところです。

 法律上葬儀費用の定義はないのですが,裁判例の中には,通夜や葬式当日の儀式の費用だけが葬儀費用に含まれるため,接待の費用や各種法要の費用は含まれないという判断を示すものがあります。葬儀費用が法律上大きく問題になるのは,誰が負担者となるのかという点が一つあげられるのではないかと思われます。法律上,明確にはされていません。そのため,考え方や裁判所の判断も割れているところですが,代表的な見解の一つは喪主の負担ではないかと考えられています。ただし,相続人全員の負担とする裁判例も存在します。ここで言う喪主とは,葬式の手配やお金の支払いを負担した方のことを言います。葬儀の契約の内容や慣習によるとする見解もありますが,香典返しなどの負担や香典の帰属を含めて相続人の間で話を付けておいた方がトラブルは防げます。遺産分割そのものの話でないので決着しない場合には民事裁判での解決になります。もちろん,遺産分割の場において合意が成立すればそれで問題は解決します。

 葬儀費用と対になるわけではありませんが,同様に問題になるものに香典があります。香典は,葬儀の際に受ける贈答品で多くの場合金銭です。通常は葬儀費用に充てるための贈答品(贈与)を考えますので,葬儀費用を賄いきれない場合には誰がとるのかという事はあまり問題にならないように思われます。余った場合,どうなるのでしょうか?
 葬儀費用と同じくその性質にはいくつもの見解が香典にも存在します。代表的なものの一つは喪主に対する贈与と考えられますので,お金が余った場合には喪主受け取ることになります。もっとも,香典返しなど葬儀費用に直接含まれない費用に充てて,どこまで残るのかという問題もありますので,香典のお金の残りだけで問題が大きくなるケースはそこまではないようにも思われます。

 遺産分割協議の際にその他の立替分も含めて解決を図るものが多くなります。

 

 既に別のコラムでも触れていますが,相続税が課税されるケースにおける非課税資産や債務控除される範囲は,ここでの話とは別の話になります。これは民事上の負担や帰属と税務上の取り扱いは別だからです。葬儀費用(どこまでが該当するかの注意が必要で,例えば墓石購入費用や初七日の費用は含まれません。香典返しも同じ)の範囲も注意が必要でしょう。

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