法律のいろは

財産分与と家の問題

2015年6月1日 更新 

 財産分与と家の問題で大きな問題は,住宅ローンの問題ではないかと思われます。今回は,それ以外の話について触れたいと思います。

 住宅ローンが存在せず自宅など不動産がある場合に,清算の方法としてはどちらかが所有権を取得する(相手方の持分にあたる部分に対してお金を支払う)・売却してそのお金を清算するという方法が考えられます。住宅ローンがある等の事情から,支払う側が所有権を取得することがあるものの,配偶者が経済的に厳しいなどの事情からそこに住み続ける必要がある場合が考えられます。そうした場合に,一種の離婚後の扶養的な意味合いから,利用権限を話し合いで設定する(有料の賃貸借以外に無料の使用貸借という形が考えられます)ことがありうるところです。
 この場合に,利用権限を設定しておかないと,後から所有者となった側から出ていくよう求められた場合には,出ていかないといけなくなる可能性が出てきます。そのため,可能であれば話し合いでこうした権限の設定をしておいた方がいいように思われます。

 次に,結婚後一度家を購入後に,売却し別の家に買い替えたという場合を考えてみたいと思います。いわゆる中高年になって別の場所に移るという場合以外にはそこまで考えがたいところですが,触れておきます。こうした買い替えの場合には,売却する家の代金から新しく買う家の頭金を払うことが多いのではないかと思われます。こうした頭金も新しい家という財産をうるための負担ですから,この頭金についても夫婦それぞれの寄与がどれだけあったのかを考えていくことになります。仮に,買い替え前の家の代金等について,配偶者の一方が80%を支払い,他方が20%を支払ったようなケースでは,頭金部分(売却金額)について,それぞれ80%・20%の寄与があったものとして考えていくことになります。問題はこれは頭金部分での話ですので,最終的な新しい家の取得への寄与はこのことを参考にして考えていく必要があるという事です。
 この点は,もう少し詳しく触れた方がいいと思いますので,次回に実際の裁判例を紹介しながら触れたいと思います。

 次回に続きます。

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