法律のいろは

遺言で葬儀の方法を決めておく意味は何なのでしょうか?

2015年6月14日 更新 

 現在は,生前から葬儀の方法を決めておくことはもちろん,葬儀業者との間で契約などをしておくことも多々見られるところです。今回は,遺言で葬儀の事柄に関することやその他のことを決めておいた場合にどういった意味合いがあるのかについて,触れておきたいと思います。

 生前の葬儀契約に関する事柄はいずれ触れたいと思いますが,遺言で親族等に葬儀方法の希望を述べておくという方法もあるところです。こうした事柄は,法律で遺言で定めておく事柄に含まれていませんから,定めておいたとしても希望を述べること以上の意味は持ちません。ですから,葬儀を特定の宗教の方式に則って行ってほしいとか・親族以外は来てほしくない・そもそも葬式はしてほしくないと述べても,必ずしも相違ないといけないわけではありません。もっとも,普通は故人の遺志を尊重するケースが多いと思われますが,あくまでも尊重するという以上のものではないという事です。
 同じことは,葬儀費用をどこから負担するかという事についてもいえます。ただ,法律上祭祀承継者と呼ばれる方を誰に指定するかという事は,遺言で指定することで法律上の意味を持つことですし,葬儀費用の負担をだれがするのかは見解が分かれているところですから,後での問題をなくすことに役立ちます。遺言執行者をしているする場合には,葬儀を出すことや葬儀費用の支出は本来は遺言執行の内容に含まれませんから,書いておくことで問題の原因をなくすこともできます。そのため,非常に重要な事項といえます。

 

 その他,亡くなった後の話として,ある特定の寺院での永代供養を行うよう希望することも考えられます。たとえば,遺産のうち,200万円を○○寺院での永代供養を行ってもらうために使ってほしいと遺言で述べても,単に希望を述べるにすぎません。これに対し,200万円を誰かに遺贈し,その代り○○寺院での永代供養に使ってほしいという事柄であると,○○寺院での永代供養に使うことを負担とした遺贈を行ったと考えられますので,ここでは法律上の意味を持ってきます。この場合でも,遺贈は一方的に遺言で決めれば当然に法律上の意味を持ってくるわけではありません。相手方が受け入れないと遺贈の効力が出てこないためです(包括遺贈なのかどうかで放棄の意思を一定期間内にしないといけないのか・基本手的にいつでもできるのかで違いがあります)。いずれにしても,法律上の意味が存在しますので,単に希望を述べる点と比べると違いが出てくるところです。

 散骨については以前触れましたが,祭祀承継者が引き継ぐものを含めて,このように,葬儀等に関する事柄を遺言で書くにしても,その意味するところについては注意をしたいところですね。

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