法律のいろは

退職の勧めを断った際に,降格をすることのリスク

2015年6月26日 更新 

 退職を促されること自体は,解雇とは異なり,本来的には会社側は自由に行うことはできます。退職を従業員の方が断った場合に,それであれば降格をするという事には問題があるのかどうかを触れたいと思います。

 降格自体は,昇進の反対の意味,役職などを下げる意味と職務等級制等が採用されている場合にその等級などを下げる意味があります。これらはそれぞれ違うものです。前者に関しては,会社側に特に定めがなくても人事権に関する事柄として比較的自由に決めることができます。ただし,限界もあり,必要もないのに行うとか・従業員側の責任が小さいのに行う等の事情があれば,無効になる可能性があります。これらが,会社の人事として行われる場合と非違行為に対する制裁として行われることがあります。

 後者については,給料の引き下げに直結しかねないものなので,問題となる従業員の方の同意があるか就業規則に定めがない限りは行うことはできません。就業規則に定めを置いていても,その基準を満たすことが必要ですし,会社側の自由に行える事柄には限界が出てきます。

 話を戻して,退職の勧誘に根拠がある場合(たとえば,降格になっても仕方がないだけの事情が存在する)には,降格になるだけの事情があるので,実際に降格するのが会社側の自由にできる範囲なのかはともかくとして,問題はそこまで起きないのではないかと思われます。これに対して,特に降格をするような事情がない場合に,退職の勧誘に応じない方に対して,降格という対応を取った場合には,問題は極めて大きくなることが多いでしょう。
 こうした場合は,退職の勧誘に応じなかったことの報復として降格がなされたのではないかが争われることが多くなると予測されるためです。実際には,降格に伴う給料の減額を争うようなケース等が予測されるところですが,こうした確たる降格をするだけの事情が存在しなければ,不当な目的による降格であると判断されることが多くなると考えられます。そのため,こうした場合の降格には会社側からすれば,リスクが大きくなってくると思われます。また,従業員の方にとっては,こうした事柄等をふまえてどう対応しているのかを考えていく必要があります。

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