法律のいろは

墓地管理料を滞納した場合,勝手に墓石の撤去などがされるのでしょうか?

2015年7月8日 更新 

 墓地・霊園を利用する際に,その維持管理等の費用として毎月・毎年等定期的に管理料を要求されることがあります。これは,民間の墓地であれば契約で書かれていることもありますし,公営の墓地であれば条例などに定めがあることもありますが,こうした定めがあった場合には,利用者側は支払い義務を負います。

 こうした管理料の支払いに滞納が生じた場合に,支払い義務を負うのは言うまでもありません。先ほど述べた契約の中身あるいは条例の中身等に,支払いの延滞が続いた場合には利用契約を霊園管理者側が解除できる・解除したときには元の状況に戻す等の定めがあった場合には,どのようになるのかは利用者側からは相当に気になるところと思われます。

 この場合,契約の中身等にこうした定めがある以上,延滞が続く場合には契約の解除等に至る点はやむをえないところです。ただし,通常の賃貸借契約とも異なり,お墓には特殊な点があります。法律の定めに従い許可を役所から受けた墓地にしか埋葬できませんし,お墓は性質上移動がそう簡単に想定されていないものです。そのため,延滞があったからといっても直ちに契約解除などはしにくいものと考えられます。ここで一番問題となるのは,どのくらいの期間の延滞が続けば契約解除に至るのかという点ですが,見解の中には3年程度続いても至らないと述べるものもあります。

 続いて,契約解除に仮に至った場合,当然に墓石の撤去などが行えるのかという点について触れます。改葬に関して許可などがいることもありますが,裁判手続きを経ることなく勝手に墓石を撤去するという事は原則としてできません。契約などに定めてあることは,あくまでも利用者側に原状回復の義務を課すだけである点には注意が必要で,それを強制的に行うには,民事裁判手続きが必要となります。

 そのため,いかに管理料の滞納が続き,契約解除が有効になった場合でも,管理者の側で裁判手続きを経ることなく墓石の撤去などを行うことはできないという事になります。

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