法律のいろは

離婚の際の財産分与する際の不動産の評価と売却について

2015年7月23日 更新 

 離婚の際に,財産分与の対象となる財産に不動産がある場合には,その評価額を出すことになります。既に何度か触れたように,その評価額は厳密には不動産鑑定士の方の鑑定によるものですが,通常は費用がかかることからあまり使われていません。不動産業者の方の簡易査定が使われることが多いように思われますが,厳密さの点では問題があり,依頼した業者間でそれなりに差が出てきます。

 夫婦双方が査定を依頼した場合には,その中間額などで評価額の合意をすることが考えられますが,その際には,実際に売却した場合に生じるだろう税金(譲渡所得税など)や不動産業者の仲介手数料・登記費用を考慮することはありません。特に,財産評価をするだけで,不動産を夫婦のどちらかが取得し,他方が別の財産を取得する場合には,実際には売買がなされないのですから,登記費用や税金(不動産取得税は生じる場合もありますが,軽減などの措置から税金が生じないこともあります)はともかく,こうした費用が全て生じるわけではありません。なお,夫婦の一方が不動産を取得する場合に,それ相応のお金を他方に支払う解決方法もありえますが,どのような方法をとるのかは,財産状況等を踏まえて決めていくことになろうかと思われます。

 もちろん,不動産を売却してその余剰(たとえば,住宅ローンを返済して余ったお金が出るようなケース)では,仲介手数料や税金,その他費用を差し引いて分配を考えていくことになります。

 ちなみに,住宅ローンの方が多い場合には,売却しても借金が残るケースがあり,その点をどのように話し合いなどで解決するのかは難しい問題です。また,最近は,不動産が購入した後よりも価格が下落する例が多いですが,逆に高騰している場合には,高騰した額を基準に清算を考えることになります。

 夫婦で築いた財産に不動産が含まれる場合には,一定期間一方配偶者に無償・有償で済ませる形の解決も考えられますが,その方の状況に応じた解決を考えるべき難しい点が出てきます。

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