法律のいろは

 不倫・不貞をした側からの離婚請求のハードルが高いという話は以前何度か触れました。今回は,そうした中で離婚請求を認めた裁判例に触れながら,どういった要素が考慮されたのかを考えていきたいと思います。

 裁判例で触れられている考慮要素には,別居期間の長さや未成熟しの存在があるという点はこれまでに触れました。その他に様々な要素を考慮しており,先ほど触れた点もこうしたその他の要素との兼ね合いで考えているところですから,一つの要素を満たさないからダメとかいう話でもありません。

 裁判例の中では,結婚から結婚してから30年より短い・別居期間8年弱で離婚請求を認めたケースがあります。この裁判例の判断の中では,単に時間が経過したという事でなく,夫婦双方がその期間で事情が変化したことやその影響などを考慮すると述べています。そこで,そうした要素などに何が考慮されているのかという点ですが,この裁判例では,不倫・不貞をした側の態度として

 ・別居後も子供や配偶者の生活費を負担していたこと ・別居後まもなく不貞,不倫をやめたこと
 ・配偶者に対して,具体的で誠意のある財産関係清算の提案をしていること

 が考慮されています。そのうえで,相手方配偶者の態度として
 
 ・別居後5年を経過してから,不倫不貞をした側名義の不動産について,仮処分を行っていること

 子供の事情として,夫婦関係をどうするかは親たちに任せるという態度であることが考慮されています。

 ここでこれらの個別の要素の一つが欠ければどうなるのかははっきりとはしませんが,配偶者側が勝手に不動産を処分できないように,仮処分を行ったことは,不倫・不貞をされた側の配偶者もある程度離婚を前提とした行動をとったと評価をしうる事情があったものと考慮しているのかもしれません。

 こうした事情に限らず,有責配偶者から離婚を求められている側が,離婚を拒否している一方で離婚を前提とした行動をとっていることがマイナスに評価される可能性もあることは言えるかと思われます。とはいっても,不倫・不貞をした側の態度が相当に考慮対象に含まれることは言えるかと思われますので,簡単に判断言えることではないものと考えられます。

 結局はケース場ケースという側面はありますが,実際上離婚を拒むことの意義がどこにあるのか・気持ち的にどうなのか等様々な事柄を考慮して判断をしていく必要はあるかと思われます。

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