法律のいろは

不貞行為と子供の問題(その③)

2015年8月17日 更新 

 前回は,妻側が子供の養育監護の多くの部分を担っているけれども,不貞・不倫を行い,夫側に離婚を求めてきた場合の話を触れました。この場合に,夫側が離婚に応じるのか・応じないかによって話が相当変わってくるだろうというのがその内容でした。夫側が離婚を前提とすればあとは親権の問題だけとなりますが,離婚にそもそも難色を示す(その理由は感情的なもの・子供のためを思ってのものなど様々ありえるところです)場合には,離婚ができるかどうかが大きな問題となってきます。

 こうした原因が,夫婦関係が破綻したことについて専らの責任があるのかどうかと親権者として適しているかどうかが必ずしもリンクしないという点は既に触れました。もちろん,不倫・不貞相手との関係を子育てよりも優先して家を空けたまま子供を放っておいた等の事情があれば別ですが,子供の養育監護を大半していたという事情があれば,当然には影響してきません。このことは,他の破綻したことについて専ら責任がある場合にも言えることです。配偶者への暴力や思いやりのない言動が破綻の主な理由である場合にも同様なことが言えますが,こうした場合には子供を含む他の家族への態度にも問題が出てくる可能性があり,同じとは言えないところがあります。

 こうした状況で夫側がどのような態度に出るのかは,非常に難しい問題があります。夫婦関係の修復を図るのか・難しいと判断するのか,子供にとってどちらが良いのかという判断もしなければいけませんので,その判断には難しいところが出てきます。このような場合に,子供の親権を自分にするのであれば離婚をするという態度をとることができるのかという点が夫側の態度として問題となってくるところですが,こうした態度が子供などに与える影響などへの考慮がその後を見据えた上では大きなポイントになるのではないかと思われます。

 これに対し,親権は争うことなく離婚を急ぐ場合には養育費や面会交流が問題となるところですが,養育費の考慮要素には有責性が含まれない(あくまでも子供への扶養義務をはたすもの)である点には注意が必要です。また,面会交流については,仮に不倫・不貞相手との将来の再婚があるにしても,直ちには制限をする事由にはならないように思われます。

 次回に続きます。

 

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