法律のいろは

離婚と不動産の清算(オーバーローンで財産分与で清算できない場合,その②)

2015年8月25日 更新 

 前回は,離婚の際に夫婦共有の家があるものの負債の方が家の価格分等よりも多く財産分与ができないけれども,話し合いで清算について合意できない場合の話について触れました。少し補足をすると,住宅ローンの残額が家の価値よりも多いオーバーローンの場合には,今後のローンの支払いが夫婦のいずれも困難であれば,売却をせざるを得なくなることが多いのではないかと思われます。こうした場合以外について,共有物分割請求を裁判で行うという話を前回触れたました。

 離婚の際に話し合いがつくことなく,その後清算をせずにいた場合には離婚後に当然清算をしないといけなくなることもありますが,その際に現物を分けるという方法が難しければ,競売をして代金を分けるという方法が出てくる可能性があります。もちろん,その前に双方が話し合いをして売却を業者を通じて行いその代金を分けれればそれに越したことはないと思われます。これは,競売よりはこうした売却の方が代金が上回ることも多いと考えられるからです(ただし,ケースバイケースです)。
 どちらかが買い取るという方法もありえますが,こうした方法は買い取る方の資力その他の事情から見て公平と言えなければなりませんが,夫婦双方にお金がないことがこうした負債の方が財産よりも多い場合には十分考えられます。そのため,話し合いができない場合には,共有物分割の裁判の判決で先ほどの例では家の競売とその代金を分けるという事が命じられる可能性が出てきます。

 実際裁判例でもこうした事情(具体的には様々なものが考えられますが)から,競売と代金を分けるという判断をしたものはあります。ただし,家は生活の本拠地でもありますし,住宅ローンが家の価値を超えていた場合の負債の負担方法は保証人等に配偶者が入っていて,双方負担を負う可能性もありますから,こうした問題をどう解決できるのかを夫婦が離婚に不幸にして至る場合には,考えておく必要があるように思われます。そのため,こうしたハードランデイングに至る前にお互い納得できる案を考えた上で話し合いをすることが双方にとってメリットの多い結果になるかもしれません。

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