法律のいろは

財産分与の寄与が平等でない場合とは?(裁判例の紹介)

2015年8月29日 更新 

 離婚の際の財産分与における清算の割合が基本的には1/2,半分ずつであるという点はこれまで何度か触れました。もちろん,例外的に夫婦のうち一方が財産形成に特に高い寄与をした場合には,その寄与に応じての清算になりますが,それはどのような場合でしょうか?

 共働きの場合は言うまでもありませんが,一方が外で働き・他方が家事をしているケースで家事が不十分だからという理由から寄与が半分に満たないという言い分を言いたい方がいるかもしれません。ただ,不十分という話自体個人の感覚的な部分が多く入り込む要素であり,外から見ても明らかに不十分というケースしかそういった話は簡単には認められないように思われます。
 
 半分ずつの寄与が修正される場合の代表例は,夫婦の一方が医師などの資格を有する・ビジネス上の特段のアイデアなど個人の特別な才覚などで多くの財産を形成した場合が挙げられています。資格を有するといっても,単に有しているだけでは理由にはなりません。そうした資格を有した稼働によって,どれほどの財産を形成することができたのかを言えなければなりません。ビジネス上の特段のアイデアについても同じことが言えます。

 裁判例の中では,いわゆる競馬での勝ち馬投票券に寄ってお金が得られた場合や一級海技士で海上勤務が非常に多くそのお金で多額の収入を得られて財産形成ができた場合に,寄与の割合を変更して判断しているものがあります。後者については,実際にケースでは資格を有するだけで寄与の割合を修正するのはおかしいという反論が存在する中で,先ほど述べた点を判断の中で述べて寄与の割合を修正しています。そのため,財産形成に結び付く点に特別の寄与となる事情が存在したかどうかが大きな寄与割合を例外的に修正すべきかどうかの分かれ目になると考えられます。

 こうした点がない場合には,そのほかの事情が財産分与では考慮されることもあるとはいえ,原則に立ち返り,半分ずつで夫婦の共有財産が清算される可能性が高くなる点には注意が必要です。

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