法律のいろは

貸している部屋の家賃が支払われない場合,どうすればいいのでしょうか(その②)?

2015年9月7日 更新 

 前回は,家賃の支払いが遅れた場合について,ア 一回でも遅れただけで契約解除して出ていってもらえるのか イ 滞納があった場合に,勝手に貸した部屋に立ち入ったり・鍵をかえることができるのか,といった点に触れました。特に,イは少々荒っぽい方法もあると,筆者がネット上で見かけただけも記載したものがありましたが,法律上のリスクが伴うものであることをよく理解したうえでどうするのか(避けた方がいいように思われます)を考えることになろうかと思われます。

 今回は,滞納が続いた場合等の対応について,少し触れていきます。家賃の回収はお金の問題ですから,お金の支払いを電話や手紙で求めるというのが一つの方法です。ただ,家賃を支払わなくて困っているという場合は,多くはこうしたやり方では応答もしない等難しいケースが多いかと思われます。この場合に,内容証明郵便を送るというのも一つの方法ですが,あくまでも証拠に残すだけで手紙を送るという点に代わりはありません。時効が問題になる場合は別ですが,回収については手紙と比べてそこまで大きな違いがあるわけではありません。もちろん,本気で回収に向かう気であると示すことくらいはできます。

 そのため,支払いがなされない状況が続く場合には,このまま支払わないと契約解除をするという手紙を送るという方法・裁判所の手続きを使って回収へと打って出るという方法が考えられます。このうち,今回は裁判所での回収の手続きについて触れておきます。通常の裁判と同じように,訴状を裁判所に提出して裁判を行うという方法も考えられますが,こうしたお金の請求であれば,支払い督促という方法も使えるところです。

 支払い督促という方法は,以前このコラムでも触れたことがありますが,簡単に言えば,簡単に・早く差押の根拠となる文書を出してくれる方法です。少額訴訟とともに,早く簡単にお金の回収を図れる手段としてよく紹介されている方法です。この方法は,費用も少なく・早く・簡単にお金の回収につながる方法としては優れた制度です。ただし,大きな欠陥も抱えていますが,この点はそんなに紹介されていません。その欠陥は,一定の異議を出されてしまうと,その効果が失われるということです。こうなると無意味になるのですが,通常の裁判へと場を移すので,その分時間がかかります。また,部屋の貸し借りではあまり問題になるケースが少ないですが,相手の住所地まで出向く必要が出てくる場合がありえます。
 相手が異議を出す可能性を頭に入れておく必要がありますが,異議が出ない場合には回収のリスクもある点にも注意は必要でしょう。

 次回に続きます。

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