法律のいろは

高齢になってからの離婚で扶養的財産分与はどの程度考えられるのでしょうか?

2015年9月13日 更新 

 子供さんが独立された後,定年退職後等高齢になってから離婚を考える際に,お金の問題は大きなウェイトを占める場合があります。特に,高齢になればなるほど,新たに働きに出て収入を得られるかどうかは生活をしていくうえでシビアな問題になることも十分想定できるところです。

 特に,夫婦の片方が専業主婦(夫)を長く勤めていた場合には,離婚後に新たに働きに出られるか,という事は大きな問題になります。それまで夫婦で築いてきた財産の清算というのもありますが,財産の額によって,今後の生活はどうなるのかという不安が起きるケースがあります。そうした場合のお金の問題の調整として,扶養的財産分与が考えられるところですが,あくまでも清算では生活に関わるような場合に限定された役割になるでしょう。

 扶養的財産分与を考えるにあたっては,こうした扶養を求める方にどれだけ扶養が必要かどうか・扶養を要求されている方の対応能力・その他様々な事情が考慮されることになります。現在は,年金分割制度が存在し,高齢の方には,分割によって大きな経済的な影響につながることも十分あり得ます。こうした年金分割で経済的な生活が成り立つ・夫婦共有財産が多くその清算だけで多くのものを分けられるケースでは,扶養がそこまで必要とは考えられなくなることがあります。
 年金分割制度は,自営業者の場合には適用がないなど分割がありうる場合が限定されていますので,そうした制度がない場合には,扶養を求める必要が高くなることもありうるところです。ただし,支払いを求められている側に十分な支払いをする能力があることも必要ですし,裁判例では,年金分割制度が導入される前のものではありますが,支払いを求められている側の離婚原因への有責性の程度も考慮されています。

 そのため,一概にこの場合であれば支払われるとは言えませんが,支払いを求める側が高齢である・病気を抱えているなど,単なる財産の清算だけでは今後の生活に行き詰まることが言える事情は少なくとも必要なように思われます。もともと補充的な調整の意味合いのあると考えられているものですから,ケースに応じた専門家への相談が必要かもしれません。

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