法律のいろは

貸している部屋の家賃が支払われない場合,どうすればいいのでしょうか(その④)?

2015年9月15日 更新 

 前回は,貸した部屋の家賃が支払われないままの状況が続く方に対して,未払いの家賃の回収と部屋の引き渡しが問題になるという話について触れました。今回はその続きです。

 こうした場合には,そもそも家賃の回収を借りた方自身からするのが難しいことがありえます。その場合には保証人からの回収という事になりますが,いくら借りた方の親族だからといっても,収入や資産がない等支払い能力のない方であれば,回収には大きな問題が出てくるところです。また,通常仲介業者が入っていれば問題になるケースはほとんどありませんが,保証人になったはずの方が自分は署名や押印をしていないといって争ってくることもあります。こうした場合には,裁判を行って回収を図る必要が出てきます。

 単に未払いの家賃を回収するだけであれば,以前紹介した支払い督促や少額訴訟という制度も使えます(ただし,リスク欠点もある点は以前触れました)が,貸した部屋からの立ち退きを求める場合には,通常の裁判を提起する必要があります。もちろん,自発的に退去を借りた側がした場合にはこうした裁判を起こす必要はありませんが,未払い家賃の支払いに敷金としてもらった額を充てた後に残りがあるよう場合(不足が出ることも十分ありうるところです)には,敷金の返還トラブルにならないように注意自体は必要です。
 借りた側の負う「原状回復義務」(貸した際の状況に戻す義務)には,借りた間の部屋の経年劣化の部分は含まれませんので,どの部分を壊したか等は借りる前後にきちんと写真を撮っておくことでトラブルは防げる可能性が高くなります。このことは,特に借りた側について言えるかと思われます。

 実際に,立ち退きも求めて裁判を起こした場合に,相手が不払いの継続などを争ってこなければ,退去が認められる可能性は高くなってきますが,ここで一つ問題が出てくることがあります。それは,こうした家賃の不払いが続いている場合には,引越しをするだけのお金がないために,借りた側が自分では引越しをできないようなケースがそこそこ考えられるという点です。立ち退きを認める判決が出た場合には,借りた側は立ち退かなければ法律上いけないのですが,実際に立ち退かせる場合には,強制執行という方法もとる必要があり,そのための費用との兼ね合いでどうするかは問題になります。

 次回に続きます。

 

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