法律のいろは

貸したお金が返ってこないのですが,どうすればいいでしょうか?(その②)

2015年9月16日 更新 

 貸したお金が返ってこない場合に,返済を求めるのは普通の行動だと思います。ただ,相手にそんな約束はないといわれれば,証拠が必要になってきます。裁判では当然ですし,交渉でも言い逃れにつながりかねません。前回は,こうした点から,何かしらお金を貸したこと(厳密には返すという約束)や実際に渡したことの証拠を残しておきましょうという話をしました。その続きです。

 先ほど,厳密には返すという約束が重要という話をしました。「お金を○○円借りた」ということでも解釈として,返すことを前提とはしています。いつ返すかを決めていない場合には,前回も触れましたように,法律上,返すよう求めて支払いに普通かかる期間が過ぎた後に返済の時期がやってくる扱いになります。問題なのは,いつ返すのかが決まっているようで実はよく分からない場合です。

 たとえば,「平成26年12月1日に返す」という約束であれば,返すべき時期は「平成27年12月1日」であることは間違いありません。時期ははっきりしています。これに対して,いつ返すのかがはっきりわからない場合があります。その代表例としては,いわゆる「出世払い」をあげることができます。「出世払い」というと,将来出世するかどうかは分からない話ですから,出世しなかったら返さなくていいと捉えがちですが,単に出世した時といういつになるかはわからない時まで支払いをまってもらっていると一般には考えられています。裁判例でも古いものでそう判断したものがあります。

 このような,いつ来るかは分からないけれども支払いの期日がある場合には,法律上は,そうした期日が来たこと・その期日が来たことを借りた側が知った時点で返済をする義務が出てきます。「出世払い」というと少し曖昧ですが,通常そうした「出世」をした時点で,借りた側は「出世」したかどうか知っていることになるので,その時点が返済時期になります。

 もっと身近な例でいれば,いつ帰国するかはわからないものの海外旅行に行くにあたり,お金を帰国時に返すという約束をしてお金を10万円貸したとします。この場合は,帰国した時点で借りた側は自分のことですから帰国の日を知っていますので,この日が返済すべき日となります。それにもかかわらず,返済をしなければ支払いが遅れているという事になります。

 次回に続きます。

 

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