法律のいろは

財産分与をするにあたって,負債はどう考慮されるのでしょうか?

2015年9月18日 更新 

 夫婦生活を営む上では,生活に関わる費用や負債から,個人が勝手に負担した負債やギャンブルでの借金など色々な負債が生じます。何度か,オーバーローン(負債が財産額を上回る)と財産分与は考えないという話をしました。今回は,少し深く財産分与をするにあたって負債はどう考慮されるかについて,触れたいと思います。

 一般には,財産分与を考えるにあたって,結婚してから得た財産から負債を差し引くことになります。たとえば,結婚してから得た財産をお金で評価して500万円・借金は300万円だとすると,差引200万円が財産分与の対象となることになります。もちろん,特有財産と呼ばれる夫婦の一方が自分だけで得たと評価できるものは差引の対象から外れます。同じことは,負債についても言えます。

 これに対して,夫婦の一方が勝手に甘い家計管理をしたために生じた大きな負債やパチンコ等のギャンブルや派手な買い物をしたために負うことになった負債等をそのまま差し引くのは,公平の観点から見て問題がないのかという考えも起きてくるところです。そのまま差し引くという事は,夫婦それぞれが半分ずつ負債部分を負担することを前提とするためです。

 裁判例の中には,いかに生活費のためにおった負債であっても,こうした半分ずつの負担を認めないものもあります。古い裁判例ですが,離婚後の財産分与の請求に関するもので次のようなものがあります。負債の負担割合を考えてプラスの財産から差し引いて分与の額が決まるために,その負担割合が問題になりました。分与を求めた側が消費者金融から借りた等の負債があったものです。分与を求めた側の付き合い・収入の少なさが負債の原因と分与を求めた側は主張しました。
 しかし,大きな借金をしなくても生活できるほどの収入である・付き合いがあっても,きちんと分与を求めた側が説明していればこうした借金はなかったと判断されています。相談なく借金をした点を考慮して,負債の負担割合を決めています。つまり,このケースでは,分与を求めた側に多くの負担を負わせています。

 このほか,ギャンブルや派手な買い物などの浪費による負債等は,差引の対象とはならないと一般的に考えられています。

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