法律のいろは

勝手に給料を減額されたのですが,問題はないのでしょうか(その③)?

2015年10月4日 更新 

 前回までは,主に雇用契約の内容を変更して給料を減額するという話について触れてきました。会社側と従業員サイドが合意をする場合が一番イメージのわくところです。就業規則の内容を会社側が変更して,給料を下げるというのも会社側の一方的な対応とはいえ,一定の規制の下での契約内容の変更にあたるものです。

 前回主に触れた会社側による就業規則の「不利益」な変更は,様々な要素の考慮という点があり,単に会社側に必要があると思うだけというだけで大丈夫とは言えない問題です。前々回に,そもそも聞いていた話と給料が違ったという話を触れました。この場合は,いくらの給料にするのかという合意の内容の問題になります。会社側が働く際の条件を明示していないこともあった場合には,会社側には罰則等の不利益が出てくる場合もありますし,従業員側から雇用契約を即時に解除されるなどのペナルテイがありうるところです。

 少し話が脱線しますが,給料に関するトラブルとして,給料を「前借りした」からという事で,実際に給料から天引きされるケースが考えられます。こうした約束や天引きは法律上無効であるとともに,天引きした給料を会社は払う義務があります。また,会社側には罰則を受けるリスクもあるところです。注意点としては,従業員と会社側の合意なら問題ないのではないかという話がありうるところですが,こうした規制があることから,無効として扱うべきという見解が強いという点です。

 さて話を戻しますが,就業規則による給料引き下げは,その程度にもよるだけでなく,そこまでするだけの必要性はあるか・他の勤務条件を改善する等の対応はしているのか等の点がポイントとなります。一部の従業員だけ退職にもちこむために給料を勝手に下げることが「合理性」を持つとは判断されないリスクは十分にあるところです。

 このほか,「懲戒処分」としての減給によって,給料が下がる場合があります。ただし,この場合は契約内容を変更するわけではなく,法律上の規制の下,会社の秩序をがする事柄をある従業員が行った場合に,一時的に制裁として給料を減らすというものです。何かしら会社にとって問題と思われる行為があったからといって直ちに減給処分ができるわけではありません。懲戒処分については,別の箇所で詳しく触れたところではありますが,次回おさらいをしたいと思います。

 

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