法律のいろは

家や土地を買う際に注意をすることとは(その④境界の問題)

2015年10月7日 更新 

 家や土地を買う際の,隣の土地との境界の話を前回触れました。家や土地を買った際に,そんな問題は不動産業者がきっと何とかしてくれているはずという思いはあるかもしれません。しかし,どんな形で家や土地を買うのかは,最終的にはご自身で決めることですから,問題があるのかどうか・そもそもどんな形で買うのかは重要なところです。

 もちろん,全ての買う場合でいつも問題になるわけではありません。しかし,気にせずに土地を使って,たとえば,家を建て増しする際に実は越境していたという問題が出てくるかもしれません。この場合は,将来越境に気付かれた相手方に,その部分を撤去してくれ等と言う話をされるかもしれません。

 また,将来の相続や離婚,その他の事情で家や土地の売却をする際に,境界がはっきりしないという事で,売却できるかどうか・売却の際の金額に大きな影響が出てくるかもしれません。普段はあまり気にしないことですが,実際には境界の問題は大きな問題をはらんでいるように思われます。

 こうした場合に,境界をはっきりさせる(どこまでがお互いが持っている部分か)ためには,境界確認を行う(前提として測量などを行う必要があります)・その他話し合いを行う,どうしても話し合いがつかないような場合には,境界確定の裁判を行うという可能性もあります。少し細かいことを触れると,境界確定の裁判は,どこまでがお互いの土地かを決める裁判ではありません。ただし,以前触れた公図売買の場合には,公の境界がそのままお互いがどこまでの土地を持っているのかをはっきりさせることにつながってきますので,大きな意味合いを持つことがあります。ちなみに,裁判とは別にADRと呼ばれる専門家が関与する裁判所外の手続きや筆界特定手続きというものも存在します。

 

 境界確定の裁判は,通常イメージする裁判と異なる点を多く持つ特殊な裁判ですが,裁判所としては判断に至る際には,必ずどこかしらに境界を定めないといけない点は大きな特徴です。ただし,そのためには,言い分とそのための証拠の準備が必要なのは言うまでもありませんん。境界標や杭など公の境界を定めた形跡が存在するのかどうか・いわゆる17条地図など測量誤差はあるものの正確な図面は存在するのか(その他正確性に疑義がありますが,公図がどうなっているのかも重要です。ただし,公図混乱地域については役に立たない可能性もありえます)・地形から見て通常はどのような決め方がなされるものなのかなどを確認しておく必要があります。

 こうした問題は,弁護士はもちろんのこと土地家屋調査士の方等専門家に気になった場合は相談するのも一つの方法かと思われます。ただし,相談の後どこまで対応できるかはそれぞれの専門家ごとに異なっています。

 境界の問題は土地などの購入の場面以外にも,これまでの利用関係や境界がどこにあるのかを隣接地の所有者がお互いに対立している場合(越境かどうかがシビアに問題なっているケース)でも問題になります。広さのわりに問題が深刻化すること・境界を示すものを壊すことは犯罪になるなどの話もありますので,専門家に相談をしたうえでの対応検討が必要な場合も出てくるでしょう。

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