法律のいろは

差し押さえ逃れ目的の離婚は有効なのでしょうか?

2015年11月1日 更新 

 夫婦のどちらかが大きな負債を負っていた場合に,離婚が問題となることはあるかと思われます。それでは,離婚届は提出したものの,夫婦の生活実態は同じ・離婚に伴う財産分与として,家等の財産を負債を負っていない配偶者に渡すようなケースには問題がないのでしょうか?

 そもそも,日常生活を営む範囲内の負債は夫婦双方が連帯責任を負うという話を以前しました。今回問題になるようなケースは相当に負債が大きいケースですので,全く別の話になります、今回問題になるのは,抵当権等担保がない場合には,負債を負った方の財産しか差押えができないために,差し押さえ逃れで実際は離婚する気がないのではという疑問が負起きてきかねないために問題となります。

 仮に,夫婦の他方を保証人にしていた場合には,結局保証人の財産への差押となりますので,今述べたような問題はなくなります。

 問題となる点は,離婚が無効だから財産分与も意味はないという点・離婚は有効だとしても,こうした差し押さえ逃れの可能性が高い事柄は財産分与の効力だけ失われる,という点です。

 前者については,裁判例上,こうした離婚も有効とされています。結婚ではよく偽装結婚が問題となるところです。離婚については,単に夫婦が離婚届を出す意思があって離婚届を提出すれば離婚は成立すると一般には考えられています。そのため,今回問題にしたような形の離婚であったとしても,離婚が無効になる⇒財産分与も無効になるという形にはなりにくいと思われます。

 ただし,次の問題となる点,差し押さえ逃れの財産分与の効力が否定されるかという点は話が変わってきます。こうした場合には,法律上,詐害行為取消と呼ばれる制度が存在します。負債を支払うだけのお金がないのに,差し押さえ逃れのために財産を移したという事が言える(プラスして,もらった側もそうした事情を知っている必要がありますが,夫婦間では肯定されることも十分あり得ます)場合には,この制度を活用することができます。

 実際には,ケースごとの事情がありますが,この制度を使われた場合,財産分与の効力を否定される可能性があります。ここでいう否定の意味合いは説明を更に要する点がありますが,リスクの高い行動にはなりうるといえるでしょう。

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