法律のいろは

モラルハラスメントと離婚調停(その②)

2015年11月8日 更新 

 モラルハラスメントがあるのではないかという事が,離婚の話が出てくる際に起きることはあるかと思われます。前回,こうしたモラルハラスメントと離婚調停での話について,基本的な事柄を述べておきました。今回はその続きです。

 前回のおさらいをすると,あくまでも離婚調停は話し合いで合意が見いだせるのかという場にすぎないという点です。離婚をすることに争いがなく,特にモラルハラスメントを原因とした慰謝料を求めないのであれば,中身を触れることはそこまでの意味はないでしょう。慰謝料名目かどうかは別として金銭支払いをある程度するという合意ができている場合も,わざわざ事実関係の深堀をする意味はあまりないように思われます。
この場合は,モラルハラスメントの有無や内容は大した意味は持ちません。

 これに対して,対立がある場合には,どのようなモラルハラスメントがあったと述べるのかは重要になってきます。話し合いをするにあたって,夫婦双方の言い分を整理する必要がありますし,相手が反論するのであれば,何があったのかという具体的な話がなければ,話し合いは空転してしまいかねません。そうしたことを避けて話し合いを進めるために,ある程度具体的な話は必要なように思われます。

 一方であくまでも話し合いの場にすぎないこと・夫婦お互いの離婚や慰謝料等についての考え方がかけ離れていた場合には,離婚裁判へと進んでいく可能性があることも頭に置いておく必要があります。こうした場合に,どこまで言い分を離婚調停の段階で言っておくのか・証拠をどこまで提出するのかは慎重な検討が必要なように思われます。

 言い分も証拠もたくさん出すという事は,言い分とその補強にはつながりますが,離婚裁判の先取り的な点もありますし,離婚調停の本来の趣旨から外れることもありえます。お互いの対立点がそのことによって激化するのであれば,離婚調停での決着が難しくなりかねません。こうしたことをすることで,相手方が諦めることが見込めるのであればともかく,こうした点があることは頭に置いておいた方がいいでしょう。

 次回に続きます。

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