法律のいろは

婚姻費用・養育費と支払い能力(その①)

2015年12月10日 更新 

 婚姻費用や養育費が家庭裁判所における調停を行った場合に,どのように決めていくのかという話はこれまで何度か触れました。その際には,家庭裁判所での手続きでは,多くの場合,双方の収入に応じた算定表(厳密には算定式)により婚姻費用の金額や養育費の金額が計算されます。もちろん,この計算された金額によって全て決まるわけではありません。

 こうした場合に,計算された金額の支払いが難しいという回答の根拠の一つとして,支払うことが困難であるというものがありえます。同様のことは,一度決まった後の実際の支払いに関してもありうるところです。こういった支払能力の問題はどのような影響があるのでしょうか?

 この話は,

 1 婚姻費用や養育費を決める場合にどのような影響があるのか
 2 一度決まった養育費や婚姻費用を支払うのが難しい

 という二つの場面で話が変わってきます。また,2の場合でも,失業などで収入が減って支払いが難しくなった場合と収入は減らないけれども,様々な事情で支出が増えた等の場合によって話が変わってくるところです。1の場合でも,収入が少ないのに多くを求められた場合,収入がある程度あるけれども,支出も多い場合で話が違ってきます。

 まず,1の場合について触れていきます。先ほど触れましたように,調停や審判では,算定表や算定式がかなりの程度考慮されます。そのため,収入に比して多くの金額を請求という場合,話し合いがつかない場合には,審判で収入に見合った金額で婚姻費用や養育費の金額が決まる可能性がそれなりに高くなります。

 これに対して,収入はあるけれども,支出が多いから支払いが難しい,ケースによってはとにかく支払いが難しいという理由で,支払いができないという場合もあります。この場合,住宅費等生活費に関わってくるような要素がある支払いに関しては,婚姻費用等を決める際に考慮はされうるところです。

 それに対して,生活費に元々関係ない遊び等のために生じたローンの支払いや遊びたいからそこにお金が使いたいという理由では,婚姻費用等の金額を決める場合に,考慮してもらうのは難しくなります。婚姻費用にしても,養育費にしても,扶養義務にもとづき,自らの生活を犠牲にしてでも支払うべき義務と考えられているためです。

 そのため,こうした理由で,婚姻費用等の金額を下げるのは難しいと覆われます。次回に続きます。

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