法律のいろは

家やアパートの賃貸の終了時にどこまで原状回復の義務を負うのでしょうか?

2015年12月28日 更新 

 家やアパートを借りる際に,普通退去する際の事を考える方はあまりいないかもしれません。ただし,いざ退去になる際に敷金はどうなるのか・ハウスクリーニングなど原状に戻す費用をどこまで負う必要があるのかは大きな問題になってきます。今回は,こうした問題等について触れていきます。

 まず,アパーと等借りている家を退去する際に,ハウスクリーニング等の費用負担を求められることがありますが,これに応じる義務があるのでしょうか?結論として言えば,原則としてはないものと考えられます。原状に戻す(原状回復)とは,借りた家を帰すまでに損耗(壊れたり汚れたりなどした部分)した箇所を戻すことを指します。ただし,こういったものにはいわゆる経年劣化と呼ばれるものも含まれますが,これはどの道生じるものになります。

 裁判例上は,こうした経年劣化によって生じたもの(通常損耗と呼ばれるものです)に関しては,借りた側に修理などをするための費用を負担する必要はありません。いわゆるハウスクリーニングも特に使っていてひどく汚したとか・破損させたことがない限りは普通は経年劣化に含まれますから,こうした部分の負担に応じる義務は出てきません。

 ただし,どの部分を壊したのか等は揉めることがありますので,安全を求めるなら(後で揉めるのではないかという気がした場合),入居時に証拠をとっておく(写真を撮る等)のが安心につながるかもしれません。

 先ほど原則と述べましたが,こうした部分を借主の負担にできる場合はありえます。裁判例では,借主側にこうした部分まで負担を負うことを契約時までに認識して合意した場合は負担をさせられると述べています。それでは,どういった場合にこのような合意があったといえるかが問題となります。あくまでも,例外的に合意があったといえるかの問題です。

 そのため,契約書上にこうした部分(どこまでの負担を負うかを含めて明記しておいた方が紛争にはなりにくいでしょう)を明記しておくか・口頭での説明であっても,借主側にこうした負担を負うことになることを説明し,異論なく合意したといえる必要があります。こうしたやり取りがあったかどうかが問題になることもありますから,仮にこうした合意を契約書以外で準備するならそれなりの紛争予防策が必要になるかもしれません。

 次回に続きます。

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