法律のいろは

勢いで離婚届に署名したけれども,その後に離婚する気がなくなった場合,どうなるのでしょうか?

2016年1月8日 更新 

 夫婦げんかがあって,勢いで一度は相手から出された離婚届に署名したけれども,落ち着いたら気が変わった。このような場合,仮に相手が離婚届を役所に提出したとしたらどうなるのかという話について触れていきます。

 まず,離婚届が出されていない,出されたか分からない場合には,相手方配偶者が離婚届を役所に提出しても受理をしないように求める離婚届の不受理申し出を行っておけばよいでしょう。離婚届を提出すれば離婚になります。しかし,離婚をする意思は,離婚届に署名するときだけではなく,離婚届を役所に提出する段階でも必要になります。

 ちなみに,ここでいう離婚をする意思は,離婚届を出そうという形式的なもので構わないと考えられています。

 そこからすると,自分の意思が離婚をする⇒離婚をしない,に変わったのにもかかわらず,勝手に出された離婚届は無効になります。ならば,無効なら何もしなくてもいいのではないかという気がしてくるところです。そうはいっても,法律上はそう簡単にはならない(むしろ面倒くさい話)点があります。それは,勝手に離婚届けが出された場合,夫婦のうち一方(離婚届を出した方)が離婚は有効であるといい,他方は無効であるというためにかな争いが生じてくる点です。

 双方に争いがなければ無効を前提に行動する等とる方法は簡単になっていきます。ちなみに,一度は離婚届を出すつもりで提出した後に,離婚を辞めようと夫婦で決心した場合には,離婚は有効ですから,再婚を行うことになります。この場合は,妻側の再婚禁止の期間は全く存在しません。

 勝手に出された離婚届は無効であることは裁判例でも認められるところです。ただし,無効かどうか争いがある場合は調停や裁判ではっきりさせる必要が出てきます。このためには,家庭裁判所での調停や裁判の手続きが存在します。ここでは,離婚をする意思が届出時にも存在したのか等離婚の無効となる要因があったのかどうかが問題となっていきます。

 調停では争いが強ければ話し合い解決の見込みは少なくなりますが,心のうちの離婚をする意思が届出時に無くなったことを裁判で証明するのは大きなハードルにはなる(客観的な事柄で証明する必要があるため)点には注意が必要です。

 

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