法律のいろは

土地の持分を他人と親が持っていて,遺産分割未了のうちに共有関係を解消するには?

2016年1月15日 更新 

 親が,第3者と土地を購入し,その後なくなったけれども,遺産分割をせずにいました。その後,その土地の上に建物を建てて活用したいという点で共有している方の意見が割れました。この場合に,問題を解決する方法の一つは共有関係を解消するという方法です。

 親の子ども(兄弟)のうち一部がこうした建設に反対している場合には,遺産分割(具体的な遺産の配分や取得方法を決める)というのも共有の関係を解消する方法(遺産を売却して代金を分ける・誰かが取得してその代償金を支払う・現物を分けるといった方法ですが,遺産全体を分けることになります)として出てきます。また,一般に土地の共有を解消する方法には法律で定められた共有物分割という手続き(こちらも具体的な方法は売却してお金を分ける・共有者の誰かが取得し,代償金を支払う・現物を分ける)があります。このうちのどちらの方法によるべきかが問題となります。

 まさしく,このような場合に,共有物分割の方法によるべきだと判断した最高裁の判断があります。共有物分割の方法では,遺産を共有する相続人からだけでなく,相続人ではない不動産の共有者の側からも共有の解消を求めることができます。

 問題となったケースは,先ほどのケースでの第3者が親が作った会社であったという場合で,マンションを土地上に建てようとしたというものです。共有物分割手続きでは,以前触れましたが,現物で分けていくという方法が原則です。ただし,このような方法が難しく,支払いの考慮などを考慮して共有している方の間で公平の点などで問題がない場合には,一部の方が持分を買い取るという方法もあります(完全価額賠償と呼ばれるものです)。

 こうしたケースでは,こうした買い取る方法で反対者の持ち分を買い取り,建設に賛成している方だけで建設を進めるという場合もあります。なお,全ての場合に,こうした方法が好ましい・可能とは限りませんので,事前の検討は必要です。

 このような方法で買い取りのお金が支払われた場合に,遺産分割が終わっていない方に支払われたお金は遺産分割で最終的に誰がとるのかを決着させる必要があります。お金自体は相続人の間で遺産分割で清算されるまで共有となるためです。一方で,もらったお金は簡単に使ってしまう危険性もあります。

 裁判所は,こうした点について,もらった側が遺産分割の話し合いがつくまで,お金を保管する義務がある(これは支払いを命じられることにもあります)と判断しています。こうなると,お金をもらう方にとっても負担は重くなりますが,こうしたケースでは話し合いが難航し調停に至る等トラブルの危険があります。こうした危険への対応も必要なところです。現在は改正により正面から遺産の一部のみ分割を行うという方法も出てきました(改正前も実際には行われるケースもあったように思われます)が,一部である不動産の売却自体に対立があるので,トラブルリスクや負担は変わらないでしょう。

 この最高裁の判断には細かな点がありますが,ここでは省略します。このように,相続の際の不動産の取り扱いには大変な点があります。

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