法律のいろは

インターネット上で誹謗中傷された場合にどうすればいいのでしょうか?(その⑨)

2016年1月21日 更新 

 これまで,インターネット上(SNSを含む)で名誉を棄損された場合の対応について何度か触れました。今回はそもそも名誉棄損とはどんなものかについて,触れてみたいと思います。

 自分の名誉を侵害されたと感じる場合は,日常でそれなりにあるかもしれません。しかし,法律で問題となる「名誉棄損」とは,社会・一般的にみて,その人の評価が下がるといえるのかどうかが問題となりますので,個人の感情とは異なる部分が出てきます。また,民事の損害賠償請求などと刑事告訴の場合には,少し異なる部分が出てきます。

 疎の異なる部分とは何かといえば,「事実を適示して」その人の社会的評価を下げる発言・書き込みをしたかどうかで,変わってくる部分があるというものです。

 刑事の問題では,こうした事実の適示をしたかどうかで,侮辱罪にあたるか(事実を適示しない,たとえば,マヌケ・バカ等とだけいう場合),名誉棄損罪にあたるかが変わってきます。後者の方が相当に重い犯罪になりますので,その違いは大きなものとなります。実際に,名誉棄損罪にあたるのではと考えていても,事実を適示している場合は以外にも少ないように思われます。こうした適示をしていると考えられるケースとしては「○○は△△ということをしていて,犯罪者だ」というような場合がさしあたってあげられるでしょう。

 仮に,名前を匿名にしても,一般的にみてそれが誰であるのかが分かる場合には,名誉棄損に該当します。なお,先ほどのケースは単に筆者が適当な代表例と思われるものを挙げただけですので,特に誰かというものではありません。

 このように,刑事事件では事実の適示がなされているかどうかで大きな問題が出るのに対し,民事における損害賠償請求では,意見や論評であっても,名誉棄損に関する損害賠償請求が認められる場合があります。ただし,以前も触れましたように,主に報道機関などに対する損害賠償請求の事件で裁判例が多くありますが,言った側・書いた側の責任を免れさせる根拠はいくつかある点には注意が必要でしょう。

 とはいえ,知人等をそれが誰かわかるような形で,誹謗中傷した場合には,責任を免れるのは容易ではありません。この場合には,一般的にみてその方の社会的な評価を下げるうえに,公共性や公益目的などとは言えないケースが多いと考えられるためです。そのため,特にSNSでの書き込みには注意をする必要があります。

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