法律のいろは

結婚外(前の結婚等)に子供がいる場合の婚姻費用の計算はどうするのでしょうか?

2016年2月2日 更新 

 一般に,養育費や婚姻費用の算定は,いわゆる算定表にもとづいて考えるのが原則であるといわれています。ただし,これは原則である上に,考慮されていないケースも存在します。仮に,認知した子供が別にいる場合や再婚で前の結婚での子供に養育費を払っている場合には,そのまま算定表で計算されるのでしょうか?

 結論から言えば,そのまま算定表に当てはめて計算することはできません。たとえば,現在,夫婦に子供が2人いて,6歳と4歳,夫は再婚で前の結婚で生まれた子供が一人いて8歳というケースを考えてみましょう。これは全くの架空のケースですが,単純に考えるため,前の結婚での子供は元妻が養育費,元妻の収入はゼロである(潜在的な稼働能力も考慮しない)と想定しておきます。現在の妻の収入も仮にゼロとしておきます。また,夫は前の結婚における子供に養育費を支払っているものと仮定しておきます。

 この場合にある事情から夫婦が別居をして,妻側が婚姻費用(生活費)を夫側に請求したと仮定します。夫側は,扶養義務を負うのは,前の結婚の子供・現在の妻と妻との間の子供になります。扶養義務を果たしていますから,前の結婚での子供を扶養義務を果たす形である婚姻費用の計算で全く考慮しないのは,過重な義務を夫に負わせかねません。

 この場合は,生活費指数と呼ばれるものの振り分けを考えていく必要があります。つまり,全てが現在の妻とその間の子供に振り分けられるわけではなく,前の結婚で生まれた子供にも振り分けられる点の考慮が必要となります。

 先ほどのケースでは,子供は全員15歳に満たないので,それぞれ生活費指数は55となります。夫婦はそれぞれ100で計算します。

 すると,現在の妻と子供に振り分けられる割合は

 (100+55+55)÷(100+100+55+55+55) となります。

 実際には,妻側が無収入であることは現在の妻も前婚での妻も考えがたい場合があり,実際の計算では複雑になることもありえます。算定表はこうした生活費指数の振り分けはしていませんので,そのまま計算をすると基本的な考え方と整合しなくなることがありえます。

 ただし,現在前の子供に対して支払っている養育費がそのまま考慮されるわけではない点には注意が必要でしょう。そのまま差引はされません。

 より複雑な話は次回に続きます。

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