法律のいろは

再婚をした後の相続の問題(その①)

2016年2月27日 更新 

 離婚をした後は,元配偶者とは親族関係は終了しますが,離婚前に生まれた子供との法律上の親子関係は残ります。このことはその後再婚をして,更に子供が生まれたとしても変わりません。離婚前に生まれた子供に対する扶養義務も基本的には残りますから,親権を持たなかったとしても,養育費の支払い義務は残ります。また,相続に関する前婚の子供の権利も当然あります。

 一方,再婚後の配偶者や新たな子供と前婚の際に生まれた子供との間が必ずしも友好的とは限りません。もちろん,友好的な付き合いのあるケースもありますが,全く付き合いがない場合もありえます。更には,対立があるような場合も考えられるところです。再婚をしたことやその後子供が生まれたことが養育費に影響を与える可能性があることは以前触れました。持っている財産に持ち家が含まれており,その価値が大きい場合には法定相続分での分割となると家の売却などの検討を後でする必要が出てくる場合もありえます。感情的な対立もあって遺産分割の話し合いが進まない可能性もありえます。こうした対立が相続問題にならないようにするにはどうすればいいのでしょうか?

 結論として言えば,遺言を作成しておくこと等の対策をしておくことは必要となるでしょう。まず,遺言を作っていない場合を考えていきます。交流がない場合でも対立をしている場合でも,遺産分割自体はする必要があります。勝手に分けたからおしまいというわけにはいきません。遺産分割の話し合いをするには,相続人全員の同意がないといけません。そのため,勝手に分けた場合(例えば,凍結されていない預金を引き出すなどした場合)には,遺産分割が無効になってしまいます。勝手に行ったことへの不満が出てくれば,争いが大きくなりかねません。そもそも,凍結をされた預金の引き出しや持ち家の売却には相続が生じている場合には,相続人全員の同意や遺産分割が成立しているのか(遺言があればその確認)をされることが通常です。相続に関する法律の改正によって預金の引き出しについては,遺産分割前であっても各相続人が法令の制限の範囲内であれば引き出せるようになりましたけれども,制限があります。

 これに対して,遺言を作成した場合はどうでしょうか?

 この場合は,どのような遺言を作成するのかにもよりますが,具体的に誰が何を相続すればいいのかを決めておけば,遺産分割協議が必要なくなります。特定の誰かに全ての財産を渡す(相続させる)という内容であれば,前婚で生まれた子供にも遺留分という権利がありますので,遺留分に関する紛争が出てくる可能性があります。

 こうした点を頭に入れて遺言の内容を考える・遺留分の権利行使(遺留分減殺請求・遺留分侵害請求)に備えたお金(保険金など)を準備しておく等対応はありうるところです。遺留分の権利行使をするかどうかは,期間制限も法律上ありますし,その方の自由という点があります。法律の改正により令和元年7月以降の相続についてはお金の支払による調整であることが明確になりました。とはいえ,将来への備えを考えるなら,こうした点の問題についての希望と対立が生じるかの見通しをつけておくのは重要なことだと思われます。もちろん,対立が予定されている中で二次相続を含めたところで相続税などの税務負担も抑えながら対応を考えていくことになるでしょう。

 

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