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残業代名目の手当の有効性に関する裁判例の紹介

2016年4月30日 更新 

 給料には内訳として様々な名目があります。給与明細や就業規則を見ていると書かれていますが,その中に名前はともかく残業代を先払いするという項目もありえます。はっきりと書いてあってもそれが有効かどうかは問題となります。まして,名目が違う場合には尚更です。

 

 今回は以前数年前に最高裁をふまえつつも,興味深い判断を示した裁判例を紹介したいと思います。

 

 問題となったのは,シフト制の敷かれている会社で,途中から営業手当名目の手当が出るようになったけれども,これが残業代の先払いにあたるかどうかという点です。他にも色々と争点のあった裁判例ではありますが,このポイントに限定して紹介をしたいと思います。

 

 このケースでは,第1審と第2審の判断が分かれています。営業手当は,問題となったケースでは賃金規定その他から休日・時間外等のいわゆる残業代の手当であるとの記載はありました。しかし,何時間分の残業代であるかは明確にはされておらず,計算をすれば判明するというものでした。

 

 第1審では,シフト制で時間外勤務と休日・深夜勤務が混じる可能性もあって,一律に事前にどのくらいの時間外勤務化示すのか難しい点や休日や時間外・深夜勤務にあたるという規定などがある点を重視して,残業代の先払いと認めました。計算によって,どのくらいの時間外勤務に該当するのかははっきりする点も挙げられています。

 

 これに対して,第2審では,計算をすると時間外勤務が月で100時間となり,長時間勤務を恒常的に定めるのを抑制するという法律などの趣旨に反することから,こうした違反した約束を会社と従業員がしたとは認めがたい点を挙げています。つまり,こうした約束に基づいて,手当が残業代の全額先払いとは評価できないと判断しています。このほかにも,手当の変更の際に統合された手当の種類を見ても,そもそも残業代の先払い以外の要素も含んだ手当が営業手当であるとも述べています。

 

 結論として,第2審では手当による残業代の先払いは認めていません。

 

 残業代の先払いの有効性については,残業代の先払い部分と他の部分が区別されていること・何時間分の先払いか・想定よりも残業した場合の追加支払いを明らかにしておくべきであるなど,他の裁判例で述べられた点はいくつかあります。このケースでの,法律などで想定された時間を超えた長時間の残業が法律などの趣旨に反する点をどう考慮するのかははっきりしない点もありますが,あまり長い時間の残業時間を想定する点への歯止め要素なのかもしれません。

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