法律のいろは

婚姻費用の支払いを求められている側が支払っている公共料金・自動車保険料等はどこまで考慮さるのでしょうか?

2016年6月1日 更新 

 婚姻費用の支払いを求められるが側が,同居をしていたころからの流れで,支払いを求めている側の使っている公共料金などの負担をしているケースはそれなりにあるのではないかと思われます。支払いを求められている側の通帳からの引き落としなどが形としては多いかもしれませんが,こうしたものは婚姻費用の支払いに関してどのように考慮されるのでしょうか?

 

 結論から言えば,支払いを求める側が本来支払うべき生活費に関しては,当然に考慮されます。そのため,公共料金,その内容としては携帯電話やインターネットの料金,電気ガス・水道料金が考慮されることになります。ここでいう考慮とは,原則として負担を既にしたものという評価になるということになります。

 

 問題は,たとえば,持ち家であるマンションの固定資産税や管理費・修繕積立金を支払い・自動車保険の保険料を求められた側で負担をしている場合に,どのように考えられるかというものです。支払っているもののうち,どこまでが婚姻費用を決める際に考慮されるべきなのかという範囲の問題になります。

 

 支払うを求める側が本来負担すべき生活費といえるかどうかの問題となります。固定資産税の問題は一戸建ての家であっても問題となりえますが,あくまでも生活費ではなく資産に対する課税ですから,考慮はされないと思われます。これに対して,マンションの管理費は月々マンションで生活をするうえで生じてくるものと考えられますので,考慮されることになるでしょう。実際に,その旨を述べた裁判例も存在します。マンションの自転車置き場の利用代金についても同じことが言えるでしょう。

 

 これに対し,マンション修繕積立金については,あくまでも資産形成の側面があることから,そのまま差し引くというのは難しいかと思われます。裁判例の中には,住宅ローンと同じような性質があるという判断を示し,双方の収入などの様々な事情を考慮したうえで,一部を差し引いたものがあります。あくまでも様々な事情によっては一部を差し引かれる可能性がある程度のものである点には注意が必要でしょう。

 

 一方,自動車については,夫婦のどちらかが名義人で,名義人が車を使っている場合もあればそうでない方が使っているケースもあるでしょう。ここでは,夫が名義人で自動車保険の保険料を負担している・妻が現在は車を使用しているケースを例にとって考えてみます。一つの考えとして,車という財産の維持形成にかかる負担だらか名義人が負担すべきというところもあります。これに対し,自動車保険は実際に使うために必要な負担であるから,現に使っている方が保険料を負担するべきという考えも出てくるところです。

 

 裁判例には,後者の考え方,つまり,実際に使っている方が保険料を負担するべきと判断しているものがあります。このように,様々なお金の負担をどうするのかは,その性質によって様々考えることになります。

 

 

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