法律のいろは

遺産に属すると考えている不動産を処分されそうな場合の対応方法は?

2016年6月18日 更新 

 どの財産がなくなった方の遺産(財産)に属するのかが問題になることはあり得ます。対象となるものは,預金・お金等いろいろとありますが,家や土地といった不動産についても当てはまるところです。こうした場合に,一方の相続人が自分の財産だと言い(つまり,いさⓠンで派内から遺産分割の対象にはならないという主張),他方が遺産に属するから遺産分割をしたいという場合には,遺産に属するのかどうかという問題が出てきます。

 

 こうした問題の解決は,遺産確認の訴えなどによって解決されます。遺産確認の訴え自体は,相続人全員が訴える側か訴えられる側で関わる必要があります(訴えることに同調しない方は,被告(訴えられる側)にまわすことになります)。こうした法的な手続きを取ろうとしても,裁判の間にその財産を処分されては意味がありません。今回は,実際には亡くなった方の財産と思われる不動産を勝手に処分されそうな場合,亡くなった方名義の不動産を勝手に自分名義に変えて,処分しようとしている場合を念頭に入れて,話をしたいと思います。

 

 このようなケースでは,相手方が話し合いに応じることなく,勝手に処分された場合には,原則としてその相手方との裁判で勝訴したとしても,その影響力が及ばないという面倒な点があります。そのために,せっかくもめている間との問題を解決するのであれば,影響力が及ぶような別の対応も考える必要があります。

 

 こうした方法に,民事保全手続きというのが考えられます。民事保全手続きにも様々な種類があり,それぞの場面でとるべき方法は変わってきます。ここでは不動産を勝手に処分されてもその効力を自分に及ぼせないようにする必要があり,その方法として,処分禁止の仮処分という方法をとることが考えられます。

 

 この手続きは,裁判所に申立をする必要があります。その際には,自分の主張する権利が存在する蓋然性があること(権利が認められる可能性が十分あること)・こうした手続きをとる必要性(保全の必要性)があることを示す必要があります。後者の必要性は,あくまでも民事保全手続きは緊急の方法ですので,緊急にこうした手続きをとる必要性があることを証拠をもって示す必要があります。ここでの話でいえば,相手のこれまでの言動や財産状況からして早急に処分する可能性が十分あることをしめすことが考えられます。

 

 単に基礎づける事柄を主張するだけでなく,裏付けの資料を提出する必要があります。先ほどのケースだと,相手が売却をしようとしていることを示す資料が該当するでしょう。もちろん,自分の主張する権利があることを裏付ける資料も必要となります。ここでは,その財産が遺産に属する(ここでは,被相続人の遺産であること)を示す必要があります。不動産の場合であれば,おそらく相手の名義になっているのでしょうけれども,それが実際には被相続人のものであることを示す根拠と証拠が必要になります。民事保全手続きは,あくまでも緊急的なもので最終的には裁判で解決することを予定していますので,裁判手続きほど厳格に証明することが求められているわけではありませんけれども,名義が異なる場合には相当程度の根拠が必要になると思われます。

 

 実際のケースでどうすればいいのかわからない場合には,弁護士など専門家に相談するのも一つの方法でしょう。

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