法律のいろは

ある財産が遺産に含まれるかどうかという問題にはどのようなものがあるのでしょうか?

2016年7月23日 更新 

 ある方がなくなった後に,遺産相続の問題が色々な形で生じることがあり得ます。その中には,ある財産がその対象になるかどうか(遺産に含まれるのかどうか)という問題もあるかもしれません。以前,話し合いでまとまらない場合にどのような形で争うことになるのだろうかという話を触れました。今回は,どういった形で問題になり得るのかをいくつか例を挙げて触れてみたいと思います。

 

 まずは,問題となる財産がなくなった方のモノになったことがあるのかどうかというケースです。たとえば,ある銀行預金があって,預金者の名前は別の方だけれども亡くなった方が中身のお金を出していた場合や管理者がなくなった方であった場合などです。ここでいう預金者が誰であるのかという点は定期預金・普通預金でやや異なった問題が出てくることもありえますが,預金の管理者(通帳や印鑑などの管理状況がどんなものか)や預金のもとになったお金が誰のものであったのかなどざまざまな点が事実関係で問題となりうるでしょう。

 名義を別人にすることは現在は難しくなっていますが,不要な紛争につながる可能性もありますので,避けた方がいいように思われます。ここでの紛争は遺産に属するのかどうかということで,一つは民事上の紛争(裁判に至る可能性があります)・もう一つは税務署に「否認」されてしまうリスク(この場合には各種減税のための特例が使えなくなることや延滞金などの問題が生じかねません)があります。特に普通預金についてはだれが預金者なのか裁判例での判断でかっちりと定まり切っていない面があり(最高裁の判断がある普通預金の預金者確定の話はあくまでも事例判断です),紛争リスクは十分ありえます。この話の詳細は別のコラムで詳しく触れます。

 

 次に,問題となる財産が亡くなった方の者になったこと自体は争いがないけれども,その後に他の方に移されたのかどうかというケースです。

 たとえば,家や土地の名義が別の方のモノになっているけれども,亡くなった方がお金を出していて,贈与したなどの事情が窺われない場合です。この場合には,贈与等名義を移す原因となる事柄があったのかが問題になるでしょう。この場合は財産の使い込みとして,使ったことについて法律上の理由(贈与や亡くなった方のために費用なのかなど)が問題となり,大きなトラブルになる可能性があります。

 

 他によく問題になり得るものが,亡くなった方の財産が別の方に移されたようであるけれども,移した原因に無効になる等の事情があるのではないかというケースです。

 生前の贈与や遺言による贈与(遺贈)がなされているけれども,そこに無効になる原因があるのかどうかが典型的なものでしょう。遺言による贈与であれば,遺言に無効となる事情(遺言をした際に相当程度認知症等の症状が出ていた等)があるかどうかが問題になります。遺言が無効であるかどうかにはそれなりに大きなハードルがありますので,亡くなった方の状態が遺言作成時どうなっていたのかの調査などを含めて専門家に相談をした方がいい場合もあるでしょう。ここでも,医療記録や介護記録の取り寄せや内容などが問題となり場合によっては大きなトラブルになる可能性があります。

 似たような場合に,遺産分割協議が無効だから,すべての財産が遺産に属していて再度の分割が必要かどうかがも問題になることもあり得るでしょう。この場合には,ある相続人を無視して遺産分割協議が行われたなどの事情があるかどうかが問題になると思われます。

 

 このように,遺産にある財産が属するかどうかが問題になるのもいろいろな場面があります。気になる点は専門家への相談も一つの方法でしょう。

 

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