法律のいろは

事実婚を続けてきた方の間でなされた結婚(婚姻)の無効が問題になり得る場合とは?

2016年8月23日 更新 

 同居をするなど事実上夫婦と変わらない生活をしながらも婚姻届けを出さない事実婚という選択肢も様々な事情からはあり得ることかもしれません。こうした選択がなされたとしても,ある時に婚姻届けが提出され正式に結婚がなされることがあります。

  そうした場合は通常は特に結婚(婚姻)が無効だなどと争われるケースはそこまではないかと思われます。ただし,婚姻はそのことによって法律上の親子関係が生じることがあります。事実婚における配偶者(パートナー)の子供とは養子縁組をしない限り扶養義務は生じませんが,自らが先に亡くなり,その後にパートナーがなくなった場合にはその子供がパートナーを相続しますので,相続関係に影響を与えてきます。

 また,同様にパートナーに子供はいないけれども,兄弟姉妹がいた場合にも相続関係に影響を与えてくることがあります。特に,亡くなった方(被相続人)の事実婚のパートナーは,法律上は相続人にはなりません。相続人とするためにこうした婚姻届けでがなされることも十分あり得るところです。もっとも,遺言で贈与をする(遺贈をする)ことで,そうしたパートナーに一定の財産を残すということもあり得るところです。なお,亡くなる時期に近いところでは有効に遺言ができないケースもあり得ます。<また,遺言や生前贈与に対して,遺留分侵害請求権を行使してお金の請求をされることもありますので,税金納付分(結婚をして配偶者になっていれば相続税について配偶者についての税額減額措置が使えますので,相続税はかかりません。この措置は内縁の配偶者は対象にはなりません)や遺留分対策のお金の確保とともに対策をしておくということになるでしょう。

 

   こうした事情もありますので,亡くなった方(被相続人)がなくなる間際になされた婚姻届けの提出では,結婚(婚姻)が有効であったかどうかが相続に影響する問題として争われるケースもあり得ていきます。結婚(婚姻)が有効であるためには法律上一定の条件(法律用語でいう要件)があります。特に問題となるのは,婚姻意思と呼ばれるものです。

 これは単に婚姻届けを提出する意思では不十分と一般的には考えられています。結婚をすることで,夫婦としての生活の実態を生じさせようとする意思が必要とされています。こうした意思があるかどうかは問題になります。特に,亡くなった方(被相続人)に黙って勝手に婚姻届けを提出していたようなケース(無断での届け出の場合)には,婚姻届け出をする意思がありませんから,結婚(婚姻)が無効になります。

 

 無効になるかどうかの事情は事実関係で様々ですので,どういったことが問題になり得るのか(逆にならないか・しても致し方ないのか)については,弁護士など専門家に相談しつつ考えていくのも一つの方法でしょう。  無効にならなくとも,遺言や生前贈与の効力は当然にひっくり返りませんが,相続税(相続開始前3年までの生前贈与も対象となります)における税額軽減措置を受けられないことにもなりかねません。また,亡くなる直前に先ほど述べた婚姻意思が問題になる婚姻届けと遺言作成が同時期に行われていた場合には,遺言をした方の健康状況などによっては遺言の効力に疑義が出てくる場合もありうるでしょう。

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