法律のいろは

生活保護を受給していることは,生活費(婚姻費用)や養育費の金額を考えるうえで,考慮されるのでしょうか?

2016年10月9日 更新 

 収入が定められている金額(一定の区分により異なります)よりも少ない場合には,生活保護の受給申請をすれば,受給できる場合があります。受給している場合に,養育費や生活費(婚姻費用)を定めるうえで考慮されるのかどうかを触れていきます。

 

 まず,結論から言えば,考慮されません。たしかに,生活保護費をもらうということであれば,手元にお金が入ってきます。そのうえでは収入があるのではないか,それを考慮しないのはおかしいという気がしてきます。しかし,生活保護に関しては,法律上,財産や親族からの援助などほかの手段によっても収入の確保ができない場合に,初めて支給されるとさだめられています。

 

 言い換えれば,最低限度の生活を保障するために,ほかの手段によっては収入が確保できない場合に,認められる制度ということができます。そのため,支払うべき立場の方から言えば,生計を立てることが自力では困難であるために生活保護が認められているのですから,基本的には収入はないものとして,生活費(婚姻費用)や養育費を決める際の収入金額を考えていくことになります。

 ただし,働くことができる状況だけれどもこうした状況であるといえる場合(そうした根拠が必要となります)には,一定の収入を得られるはずだと考える場合も出てくることもあり得ます。

 

 同じように,生活費(婚姻費用)や養育費をもらう側が生活保護を受けている場合にも,生活保護費は収入にはカウントしません。理由は同じような理由からです。ちなみに,生活保護の申請をした際に,資産など様々調査をされますが,法律上扶養義務を負うべき親族に扶養に関する調査もされます。これは,先ほど述べた,財産や親族による扶養が生活保護に優先するためです。基準金額を超える扶養や他の収入が期待できない場合に生活保護に至るという流れになります。

 扶養が難しいなどの事情があった場合に,生活保護の受給ができるからという理由は同じです。そのため,相手が生活保護を受けているからという理由で,生活費(婚姻費用)や養育費の金額が減るということはありません。ちなみに,生活費(婚姻費用)や養育費を調停などで取り決めた際に,それ以前にもらっている生活保護費をそのままもらえるのかというと,そんなことはありません。あくまでも,もらっている金額分は収入として認定されるため,理屈上生活保護費はその分減額になります。

 

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