法律のいろは

支払う必要のないお金を支払った場合に,返還を求めるのに問題はあるのでしょうか?(その②)

2016年12月19日 更新 

 前回,主に実際は支払う必要のなかったお金について支払いをした場合に,返還を求めても認められなくなる場合について触れました。これはあくまでも支払う必要がないとなった場合でも返還請求が認められなくなる場合の話ですので,たとえば,好意でお金を支払っていた場合に贈与があったのだなど支払う約束などによって支払う義務が出てきたのかは別に問題になる可能性はありえます。

 

 今回は,様々な事情で他人の負債を支払っていた場合にも返還請求が認められなくなる場合があるのかについて触れていきます。

 まず,結論から言えば,法律上例外的に返還請求が認められなくなるケースはありえます。これとは別に,他人の負債の保証人になっていた場合は,自分で保証人となることでその他人と同じ内容の負債を負っているのですから,話は違ってきます。あくまでも自分の負債となるためです。

 また,前回触れましたように,支払い義務がないことを知っていた場合ではなく,あくまで他人の負債を自分の負債であると誤解して支払った場合に,返還が認められない場合としてどのようなケースがあり得るのかという話になります。

 

 それでは,例外に当たるのはどのような場合なのでしょうか?法律上,有効な支払いがあったと考えて,支払いがなかった場合にとる手立てを債権者側が失った場合に例外として返還請求が認められないとさだめられています。

 具体的には,お金を貸していた場合で考えてみます。返済を受けたと貸した側が考えて,借用書を借主(支払った方とは別人)に返還した場合・同じく返還まで預かっている予定の物を返してしまった場合・有効な支払いがあったと貸主が事項に必要な期間に対抗措置を取らなかった場合が考えられます。

 

 こうしたケースでは,借用書を返還してしまうと貸主はお金を貸したかが問題になった場合には,そのことの証明をする手段を失ってしまいます。また,返済をした場合に返す目的にモノを預かっていたケースでは,支払いがなかった場合に売却するなどできなくなり,せっかくの担保が亡くなってしまいます。時効のケースでは,裁判を起こす等の方法を法律で定められた期間内に起こさない場合には,法律上回収手段が失われることになりかねません。

 

 このような場合には,例外的に他人の負債を支払っても返還請求が貸主に対しては認められなくなります。もちろん,もともと負債を負っていた方が得をすることはなく,支払いの請求をすることはできます。ただし,その方が支払いができない(お金がないなどの状況)場合には,実際上支払ったお金が回収できないリスクが出てきます。

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