法律のいろは

遺言執行者をつけた際にかかる費用とはどのようなものでしょうか?

2017年4月14日 更新 

 遺言執行者といっても何のことかわかりにくいところです。簡単に言えば,遺言で決めた内容を実現してもらうために動いてもらう人といったところでしょうか。預金の手続きや登記関係など,令和元年7月に改正された内容で遺言執行者の権限が明確になった部分があり,業務に伴う責任(業務のミスなどから損害が生じた場合の賠償責任)もあるところであって,負担も相応にある話になります。

 

 ご自身が遺言執行者に遺言で指定されいた場合にはその業務を受けるかどうかをまず決める必要があり,そこでは報酬や業務やそれに伴う責任が気になるところです。それとは別に遺言をする場合には,費用面も気になるところです。遺言執行者といっても,弁護士・司法書士・行政書士等の専門職に常に依頼する必要があるわけではありませんが,実際には遺言書作成に関与した専門家などを指定しているケースも多くあるように思います。遺言で財産を引き継ぐ方が指定される場合もありますし,親族がなるケースも多いでしょう。そもそも,遺言執行者を置くかどうかも厳密には遺言でかっちりと決めた場合以外もありますが,ここでは遺言で定められている場合を前提とします。

 

 費用としては,おおまかに様々な事務手続きを行う際の経費面と遺言執行者の報酬が存在します。事務手続きの費用は,登記を行う際に費用・財産管理にかかる費用・財産目録を作る費用等が存在します。亡くなった方ご自身が書いた遺言(自筆証書遺言)では,家庭裁判所に検認という手続きを申し立てる必要がありますが,この手続きにかかる費用も経費に含まれます。これに対して,遺言をした方の葬儀費用については難しい面があります。葬儀費用自体は相続開始後に生じるもので遺産に関する費用でもなく,遺言で定める財産管理の費用とも言えないためです。そのため,遺産の処分として葬儀を行うことを定める等の話がない限りは,事務手続き・遺言の執行にかかった費用とは言いにくくなります。ちなみに,相続財産の負担といえないが,相続財産から生じたのではないかと思いがちなお金として相続税がかかる場合の申告などの費用があります。申告にかかる費用も相続財産そのもの費用ではないので,こちらも当然に差し引き清算はできません。

 

 遺言執行者に対して支払う報酬は,遺言の中で決めていればその金額になります。決めていない場合には,遺言執行者の方と相続人などが協議する・家庭裁判所に申し立てて決めてもらうといった方法があります。専門職の方であれば,報酬規程の中に目安となる金額が書かれているのが通常ですし,大きな金額になることもありますから,その方次第という点はありますが通常は見積書を出すことになるでしょう。

 ちなみに,家庭裁判所が金額を決める際には,こなした事務手続きにかかっただろう労力等を基準に定める傾向にあると考えられます。ただし,こう言った点はケースごとに異なってきます。

 

 こうした費用は,通常相続財産の中から確保することになりますが,相続財産がない場合にはその確保に問題が出てきます。こうした場合には,遺言の内容から利益を受ける方が支払い義務を負うべきとの考え方もあります。細かい点を言えば他のところも出てきますが,遺言の内容を実現する際にも遺言書の作成を他の方に任せる費用とは別にお金がかかる可能性がある点には注意が必要でしょう。

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